[III-OR27-05] 右室流出路再建術後遠隔期心血管造影所見による肺動脈弁逆流量推定
Keywords:右室流出路再建術後, 肺動脈弁逆流, PRF
【背景】右室流出路再建術後遠隔期の再介入の適応において心臓MRIによる肺動脈弁逆流,右室容量の定量的測定がgold standardとされている一方,植え込み型デバイスや全身状態によってはMRI非対応の患者層がある.【目的】肺動脈弁逆流の強い症例ほど,血管造影上,肺動脈が収縮期と拡張期で大きく拍動した所見を呈する傾向に着目し,その程度から心臓MRI検査の各指標の代用となり得るかを検討する.【対象】2009年から2021年に当院で心血管造影検査と心臓MRI検査を3か月以内に施行した右室流出路形成術後患者54例を対象とした.手術時年齢は3.1±3.3歳(0.0-13.9),術式は導管による再建術24例,transannular patchによる拡大術20例,自己弁温存術式6例,肺動脈弁置換術4例であった.【方法】右室造影で左右肺動脈第1分葉枝直前の径を測定し,最大-最小径差を最大径で除した値の左右平均値をpulmonary artery distensibility index(PADI)と定義し,心臓MRIで計測したRVEDVi,RVESVi,RVEF,PRFとの関連を検討した.【結果】心血管造影検査施行時年齢は15.0±5.9歳(5.4-35.6)であった.PADIは0.202±0.080(0.052-0.347),RVEDViは125.3±34.0 mL/m2(72.0-213.8),RVESViは66.9±22.1 mL/m2(29.1-123.5),RVEFは47.3±7.6%(31.9-62.1),PRFは25.1±13.3%(3.3-63.6)であった.PADIはRVESVi,RVEFと相関関係がなく,RVEDVi(r=0.40),PRF(r=0.54)とそれぞれ中等度の相関関係がみられた.PADIによるPRF予測能をROC解析したところ,PRF>40%のAUCは0.82(cut off値0.24)となり,PRF>25%のAUCは0.82(cut off値0.19)となった.【考察】心血管造影上の肺動脈の拍動は肺動脈弁逆流の程度を反映する.PADIはPRFと相関関係を示し,その定量予測に使用できる可能性がある.