第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演29(III-OR29)
川崎病・冠動脈・血管 I

2022年7月23日(土) 10:30 〜 11:20 第5会場 (中ホールB)

座長:津田 悦子(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院小児循環器病センター・小児科)

[III-OR29-01] 川崎病と頚部リンパ節炎の鑑別における頚動脈内膜中膜複合体厚の有用性について

水冨 慎一朗, 藤田 修平, 西田 圭吾, 中川 亮, 畑崎 喜芳 (富山県立中央病院 小児科)

キーワード:川崎病, 頚動脈内膜中膜複合体, 頚部リンパ節炎

【背景】頚動脈内膜中膜複合体厚(Common carotid artery intima-media thickness: cIMT)は川崎病では細菌感染と比較し肥厚を認めるとの報告がある。
【目的】川崎病と頚部リンパ節炎の鑑別におけるcIMTの有用性を検討する。
【方法】2019年2月から2021年3月までに川崎病(Kawasaki disease: KD)もしくは頚部リンパ節炎(Cervial lymphadenitis: CL)の診断で入院となった1歳以上の51例を対象に前方視的に検討を行った。超音波診断装置はEPIQ 7G(Philips)を使用した。cIMTは画像診断用ソフトQLAB(Philips)を用いて測定した。測定方法は自動測定(ソフトによる自動解析: A)、手動測定(3点を手動で測定し平均を算出: M)とした。自動測定は成功率が90%以上を有効とした。KD群とCL群で臨床的特徴について比較検討した。
【結果】51例中KD群39例とCL群12例であった。自動測定の成功率が低かった2例と測定できなかった2例(計KD群3例、CL群1例)は除外した。KD群はCL群と比較し低身長(p=0.02)であったが、他の臨床的特徴に差は認めなかった。KD群はCL群と比較してcIMTは大きかったが、有意差は認めなかった(KD群 cIMT(A) vs. CL群 cIMT(A), 0.46 (0.40-0.63) vs. 0.44 (0.40-0.53) mm; P>0.05, KD群 cIMT(M) vs. CL群 cIMT(M), 0.46 (0.35-0.61) vs. 0.44 (0.30-0.48) mm; p>0.05)。体表面積(BSA)で補正したcIMT(cIMT/BSA)は、KD群はCL群と比較して有意に大きく、自動測定と手動測定ともに同様の結果が得られた(KD群 cIMT/BSA(A) vs. CL群 cIMT/BSA(A), 0.822 (0.516-1.263) vs. 0.724 (0.556-0.863) mm/m2; p=0.035, KD群 cIMT/BSA(M) vs. CL群 cIMT/BSA(M), 0.864 (0.484-1.122) vs. 0.706 (0.405-0.902) mm/m2; p=0.007)。
【結論】血管炎が主体と考えられる川崎病は頚部リンパ節炎と比較して、cIMTを体表面積補正した値は大きく、cIMTは川崎病診断の一助となりうると考えられた。