The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演29(III-OR29)
川崎病・冠動脈・血管 I

Sat. Jul 23, 2022 10:30 AM - 11:20 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:津田 悦子(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院小児循環器病センター・小児科)

[III-OR29-02] 長野県巨大冠動脈瘤ゼロプロジェクト(NCALZERO)-県内統一治療プロトコールについて(第三報)

内海 雅史1, 山崎 聖子1, 元木 倫子1, 蜂谷 明1, 瀧聞 浄宏2 (1.信州大学 医学部 小児医学教室, 2.長野県立こども病院 循環器小児科)

Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, 合併症

【背景】診断率および急性期治療法の改善により巨大冠動脈瘤合併例は減少したが、第26回川崎病全国調査では2020年の患者は減少に転じたが、巨大冠動脈瘤症例は37人(0.13%)と横ばいであった。長野県では過去10年間で5例の巨大冠動脈瘤が発症し、急性心筋梗塞や瘤内血栓などの合併症を発症している。【目的】2019年4月から5年間に長野県内で治療された川崎病患者の巨大冠動脈瘤発症をゼロにするため、県内の関連医療機関において統一の治療プロトコール(長野県巨大冠動脈瘤ゼロプロジェクト;NCALZERO)を実施し、その有効性を検討すること。【方法】県内の川崎病冠動脈病変合併例を全て把握すること、全ての治療過程においてステロイドは併用しないこと、難治例は10病日までに血漿交換(PEx)を行うことをコンセプトとした。治療は1st Lineおよび2nd Lineは静注用免疫グロブリン(IVIG)単回投与(2g/kg)とアスピリン(ASA)内服を行う。3rd Lineはインフリキシマブ(IFX) 5mg/kgを第一選択とするが、IFX適応外症例はシクロスポリン(CyA)内服または静注を行い、冠動脈瘤を有する症例はPExを選択する。 IFX適応症例は3rd Lineまで、IFX適応外症例は2nd Lineまでを各施設で行い治療無効の場合は当院へ転院し追加治療を行う。追加治療は症例の状態に応じてCyA投与、PEx、IVIG追加投与を行う。PExはIFX不応、CyA不応、冠動脈瘤合併のいずれかに該当する症例に対して当院で実施する。【結果】NCALZERO開始後3年経過し、当院で追加治療を要した患者は10症例である。IVIG追加1例、血漿交換3例、CyA投与6例で1例に中等瘤を認めた。外来へは冠動脈拡張症例3例が紹介されたがいずれも1年以内に退縮し巨大冠動脈瘤の合併例はない。【結語】良好な成績であり、引き続き各関連施設と協力しながらNCALZEROを継続する方針である。