[III-OR29-04] 非造影MRAを用いた川崎病患者の末梢動脈瘤スクリーニング
Keywords:川崎病, 末梢性動脈瘤, MRA
【背景】川崎病は系統的血管炎であり特に冠動脈に影響を及ぼすが、まれに末梢動脈瘤も引き起こす。その中には、腸骨動脈瘤の破裂、腋窩動脈閉塞、胸部動脈瘤の人工血管置換などの報告があり、冠動脈瘤と同様にその評価は重要である。【目的】非造影MRAを用いた低侵襲かつ短時間での川崎病患者の末梢動脈瘤スクリーニングが実現可能か検証すること。【方法】対象は2017年12月から2021年10月の期間に当院で冠動脈MRA検査を行った川崎病患者45例(10ヶ月-33歳、平均10.7±7.6歳)。使用機器はPhilips社製MRI装置Ingenia 1.5 T。使用コイルはds TorsoコイルまたはPosteriorコイル。撮像シーケンスは拡張期相のECG-gated 3D FSEを用い、体軸冠状断像で撮像を行なった。大動脈、鎖骨下動脈-上腕動脈、腎動脈、腸骨動脈の画質評価と、末梢動脈瘤の有無を小児循環器医2人により評価した。視覚評価スコアは、3ポイントスケール(3 = Excellent : 明瞭、2 = Good : 評価可能、1 = poor : 評価不能)とした。【結果】非造影MRAを用いた末梢動脈瘤の平均撮像時間は143.5±36.5秒。評価者1の視覚評価スコアは大動脈3.00、鎖骨下動脈2.90±0.28、腎動脈2.49±0.50、腸骨動脈2.93±0.33、評価者2の視覚評価スコアは大動脈2.77±0.38、鎖骨下動脈2.46±0.54、腎動脈2.20±0.54、腸骨動脈2.67±0.56。いずれの評価者も診断可能と評価した症例は大動脈44/45例(97.8%)、鎖骨下動脈44/45例(97.8%)、腎動脈39/45例(86.7%)、腸骨動脈43/45例(95.6%)であった。今回の検証で末梢動脈瘤は3例認め、両側腋窩動脈瘤2例、右腋窩動脈瘤1例であった。【結論】拡張期相のECG-gated 3D FSEを用いることで、非造影MRAでの末梢動脈瘤スクリーニングが可能であることが示唆された。