The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演30(III-OR30)
川崎病・冠動脈・血管 II

Sat. Jul 23, 2022 12:50 PM - 1:40 PM 第5会場 (中ホールB)

座長:柴田 映道(慶應義塾大学医学部 小児科学)
座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[III-OR30-02] 胸痛、失神を契機に診断された冠攣縮性狭心症に右冠動脈低形成および心筋緻密化障害が疑われた1例

築野 香苗, 栗原 茉杏, 渡邉 誠, 深澤 隆治 (日本医科大学 小児科)

Keywords:冠攣縮性狭心症, 胸痛, 冠動脈低形成・狭窄

【背景】小児の突然死や心血管イベントを来す疾患に心筋症や致死性不整脈、先天性冠動脈疾患の外、稀ではあるが冠攣縮性狭心症もあげられる。【症例提示】症例は13歳の男児。部活動でランニングを開始した後に気分不快、胸痛を認め、座って休んだ後に立ち上がったところ失神した。意識混濁、呼吸困難の訴えあり、AED装着したが作動しなかった。来院時BT 36.1℃, SpO2 74%(10L/min.), pH 7.167, pCO2 49mmHg, HCO3 17mmol/L, BE ‐11.8, Lac 70mg/dL, TnT 0.070ng/ml, 冷汗と末梢冷感が強く、ECGでV1-4にかけてST低下とR波増高、XP上肺水腫を認めた。気管挿管、人工呼吸器を開始し、緊急カテーテル検査を実施した。冠動脈造影ではRCAの低形成、LCX #13 90%狭窄、LADからRCAへ側副血行路の発達を認めた。血流は維持されており、ST変化は改善していたため、PCIは施行しなかった。IABP、カテコラミン治療により肺水腫は改善し、第5病日にIABP抜去、第7病日に抜管した。第24病日にアセチルコリン負荷試験を施行したところ、20μg投与によりLAD近位部の攣縮が誘発され、心電図上ST上昇、完全房室ブロックと血圧低下をきたし、冠攣縮性狭心症の診断に至った。心臓MRI施行では、心尖部の心筋緻密化障害が疑われた。カルシウム拮抗薬服用下にトレッドミル負荷心電図検査を施行、 11.7Metsまでの負荷で、胸痛・動悸の出現はなく、V1でのST低下を認めるのみだった。学校生活管理区分表Cの制限とし、内服・運動制限などの生活指導を行い、第44病日に退院した。血管炎マーカー、ミトコンドリア病、自己抗体などの検査は異常なく、川崎病の既往もなかった。【結論】小児において冠攣縮性狭心症は稀であるが、基礎疾患を認めない冠動脈イベントの鑑別には念頭に置く必要がある。