第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演31(III-OR31)
川崎病・冠動脈・血管 III

2022年7月23日(土) 08:30 〜 09:20 第6会場 (小ホール)

座長:深澤 隆治(日本医科大学 小児科)
座長:布施 茂登(NTT札幌病院 臨床検査科)

[III-OR31-03] Candida Albicans Water Soluble Fractionを用いた川崎病モデルマウスにおいて、カンデサルタンは血管炎を抑制する

松井 亮介1, 深澤 隆治1, 上砂 光裕1, 赤尾 見春1, 阿部 正徳1, 渡邊 誠1, 橋本 康司1, 築野 香苗1, 三浦 典子2, 大野 尚人1, 伊藤 保彦1 (1.日本医科大学 小児科, 2.東京薬科大学 薬学部 免疫学教室)

キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, 血管炎

【背景】川崎病血管炎においてアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の抗炎症作用が期待されている。【目的】Candida Albicans Water Soluble Fraction(CAWS)を用いた川崎病モデルマウスを作成し、血管炎急性期のカンデサルタンの抗炎症作用を検証する。【方法】5週齢のDAB/2マウスにCAWS 0.5 mgを連続5日間腹腔内注射することで血管炎を惹起し、ARBとしてカンデサルタンを投与した。CAWS群、CAWS+ARB 0.25mg/kg投与群、CAWS+ARB 0.5mg/kg投与群、CAWS+ARB 1.0mg/kg投与群の4群を各群5匹ずつ用意した。CAWS投与終了後からARBの内服を開始し、4W後に屠殺、連続薄切切片を作成、炎症細胞潤面積と大動脈基部全体の組織面積を計測し、その比を血管炎の炎症細胞面積比として評価した。【結果】炎症細胞面積比はCAWS群、CAWS+ARB 0.25mg/kg投与群、CAWS+ARB 0.5mg/kg投与群、CAWS+ARB 1.0mg/kg投与群でそれぞれ18.1±1.9%、5.8±1.4%、6.8±1.9%、8.4±4.5%であった(p=0.0119)。Wilcoxon検定による各群間の比較では、CAWS群に比較しARB各群で有意な低下を認めていた(それぞれのp値は0.0122、0.0200、0.0122)。ARB各群間での有意差は認めなかった。【考察・結語】ARBはCAWS血管炎の急性期の炎症を抑制する効果があり、川崎病急性期治療への応用が期待できる。今後その炎症抑制機序について研究を進めていく予定である。