[III-OR31-04] 川崎病新規治療薬として低用量で十分な炎症抑制作用を持つシアル酸高含有Fcの開発
キーワード:免疫グロブリン, Fc, シアル酸
【背景】川崎病における免疫グロブリン大量療法(IVIG)の作用機序は明らかでないとされてきたが、近年自己免疫性疾患においてFc領域にあるシアル酸の効果が注目されている。【目的】川崎病動物モデルにおいてシアル酸高含有(SA-)Fcが、低用量でもIVIGに匹敵する炎症抑制効果を発揮することを証明する。【方法】ヒトIgGをパパイン処理でFab領域を切り離し、SNA-レクチンアフィニティカラムでシアル酸含有のFcのみを吸着溶出し、SA-Fcを精製した。カンジダ・アルビカンス標準株の菌体抽出物質(CAWE)にて川崎病モデルマウスを作成し、1,3,5日目にIgG・Fab・Fcを各2g/kg、IgG・SA-IgG・SA-Fcを各0.2g/kg(1/10量)、プラセボを投与 (各n=5)し、4週後に冠動脈起始部の炎症性病変を定量的に解析した(grade 1; 細胞浸潤<20/HPF, grade 2; <100/HPF, grade 3; >100/HPF, grade 4; 内弾性板破壊, grade 5; 新生内膜浸潤)。【結果】以下grade中央値[四分位]。プラセボ群:4[3-5]に対しIgG群:1[1-1] で有意に炎症を抑制した(p<0.01)。Fab群:5[2-5]に対しFc群:1[1-3]で有意に炎症を抑制した(p<0.05)。1/10量IgG群:3[1-5]に対し1/10量SA-IgG 群:1[1-2.5] (p<0.05),1/10量SA-Fc 群:1[1-1] (p<0.01)とSA群で有意に炎症抑制した。【考察】川崎病モデルマウスにおいて、免疫グロブリンは主にFc領域で効果を発揮し、シアル酸高含有Fcは1/10量でIVIGと同等の炎症抑制効果があることが示唆された。