[III-OR31-05] 自然免疫IL-33/ST2系を介した川崎病冠動脈病変発症機序の解明
キーワード:サイトカイン, alarmin, DAMPs
【背景】 近年、微生物や細胞における特定の分子がパターン認識受容体で認識され、川崎病血管炎を惹起するという新しい概念(自然免疫説)が提唱されている。インターロイキン(IL)-33はIL-1ファミリーに属するサイトカインで、血管内皮細胞や上皮細胞の核内で恒常的に発現している。IL-33は細胞死(ネクローシス)にともない核内から放出され様々な疾患で炎症を惹起するalarminとして機能し、急性期川崎病患者の末梢血中で上昇していることが報告されている。【方法】 培養ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)をIL-33で刺激し、上清中サイトカイン濃度を測定した。また腫瘍壊死因子(TNF)-αで培養HCAECを刺激し、IL-33と共刺激した際の上清中サイトカイン濃度を測定した。【結果】IL-33刺激濃度依存性に培養HCAEC上清中の可溶性ST2、IL-6、IL-8、およびmonocyte chemoattractant protein-1濃度が上昇した。IL-33とTNF-αの共刺激では、IL-33単独刺激に比して上清中炎症性サイトカイン濃度が高値を示した。また、IL-33単独刺激時の培養HCAEC上清中IL-6濃度は、TNF-α単独刺激時に比し有意に高値であった。【考察】IL-33は従来のリーディングサイトカインであるTNF-αに比し、培養HCAECにおいてより強い炎症を惹起した。川崎病冠動脈炎においてIL-33は新たな治療標的となり得る可能性が示唆された。