[III-OR32-01] 大動脈離断複合症修復術式選択における大動脈弁輪径および左室流出路径に関する検討
Keywords:大動脈弓離断症, 左室流出路狭窄, 2心室修復
【背景】大動脈弓離断症(IAA)修復術式選択において、大動脈弁狭窄と左室流出路狭窄は2心室修復成立の重要項目である.【目的】IAAの術式選択について検討する。【方法】当院で1993年10月~2022年1月の期間にIAAと診断された42例のうち、2心室修復した29例を検討した。【結果】IAAはType A 17例、Type B 12例でType Cはなかった。合併奇形の内訳はVSDが20例、DORVが3例、総動脈幹症が3例、大動脈肺動脈窓が3例であった。1期的根治手術が18例であり、2期的修復11例に対する初回手術は両側肺動脈絞扼術が10例、側方開胸による大動脈弓拡大術(EAAA)+肺動脈絞扼術が1例であった。入院死亡はなく、遠隔期で2例(6.8%)死亡した。大動脈弓に対する再介入はなかった。Yasui手術で2心室修復を行った症例(Y群)が4例(13.7%)、術後に左室流出路(LVOT)の狭窄が進行しKonno手術を施行した症例(K群)が4例(13.7%)、通常のVSD閉鎖後にLVOTへの介入を要さなかった症例(C群)が18例(59%)であった。術前の大動脈弁径の平均はK群zvalue -5(-8.2~-4.3), Y群がz-value -6.0(-10.6~-3.3), C群 z-value -4.1(-8.9~+7.8)で有意差はなかった。LVOTの最狭窄部の平均はK群z-value -9.0(-14.7~-5.9 )、Y群z-value-8.2(-10.6~-3.3 )、C群z-value -4.9(-8.9~0)で有意差はなかった。【考察・結語】1期的修復と2期的修復はどちらも良好な結果がえられた。K群・Y群・C群間で手術介入時LVOT・大動脈弁径に有意差はなく遠隔期の再介入因子は不明であったがZ-value <-9で通常のVSD閉鎖で2心室修復が可能であった症例はなく、LVOTへの介入の適応の目安と考えられた。術前の左室流出路狭窄が軽度の症例でも遠隔期の再Konno手術3症例があり、注意深い経過観察が必要であることが示唆された。