[III-OR32-03] 左側房室弁低形成症例で二心室修復を目指すための、palliative ASD closureの経験
Keywords:borderline left heart, LV rehabilitation, hypo plastic left atrioventricular valve
【背景】左側房室弁低形成 (hypo. LAVV)は、borderline left heartに対する二心室修復(BVR)における risk factorの一つである。近年我々は、hypo. LAVV症例に対して palliative ASD closureを行い、段階的に BVRを目指している。【目的】Palliative ASD closureの短期成績、left heart structure sizeの推移、BVR到達の有無を調査してその有用性と問題点を検証する。【方法】2019年1月から2022年1月に palliative ASD closureを施行したhypo. LAVV症例 6例を対象とした。【結果】手術時月齢は中央値で 10.2 (IQR 8.5 - 11.5) ヶ月、手術時平均体重は 6.99 ± 0.78 kgであった。主診断はcAVSD 2例、cAVSD + DORV 2例、DORV 1例、iAVSD 1例であった。初回手術が2例、既往手術はPA banding 4例、AVSD repair 1例、BVR takedown 1例であった。 術前のLAVV弁輪径 68.8 (IQR 66.3 - 73.8) % of normal、Z-scoreで-4.08 (IQR -4.49 - -3.32)、 LVDd 78.0 (73.9 - 86.9) % of normal、LVEDV 123.3 (IQR 106.5 - 137.6) % of normal, 大動脈弁弁輪径100.3 (IQR 90.6 - 109.8)% of normalであった。全例 fenestrationを置かずにASDを完全閉鎖した。併施手技はcommon AVV septation 4件、LAVV形成 3件、右側房室弁形成 1件、 PA banding 4件、BT shunt 1件であった。在院期間は 26日、ICU滞在期間は 10日であった。観察期間は 23.7 (IQR 7.6 - 31.2)ヶ月で死亡なし。術後LAVV弁輪径と左室容積は有意に増加し、4例 66.7%がBVRに到達した。【結論】少ない症例数ながら、良好な成績であった。まだBVRに到達していない直近の2例は LAVV弁輪径 Z-scoreが 術前 -5.57, -4.58、術後 -3.86, -3.00と他の症例よりも小さく、今後の推移を慎重に観察する必要がある。またpalliative ASD closure後にLAVVRが残存/増悪する症例があり、その長期予後も注意が必要である。