[III-OR32-04] 機能的単心室の重症房室弁逆流に対する房室弁置換
キーワード:機能的単心室, 房室弁逆流, 弁置換
【背景】機能的単心室の房室弁逆流は予後に影響するが,弁置換を必要とするような症例は極めて重症と考えられる.特に2歳未満での弁置換は早期死亡のリスクとされる.【対象】2004/5~2020/10に房室弁に手術介入した機能的単心室113例のうち,弁置換を行った13例を対象とし治療成績を検討した.【結果】全死亡は7例(早期/遠隔期3/4例).TCPC到達は6例で,死亡例は全例TCPC未到達だった.生存(L)/死亡(D)群の弁置換術時の月齢は22.8/8.4 M,体重は8.3/4.8 kgであり,D群では早期・低体重で施行されていた.HeterotaxyはL/D群でそれぞれ4/2例,弁形態はCAVV4/1例,M弁2/1,T弁1/5例で,D群ではT弁が多かった.弁形成術の既往がある症例は2/4例だった.弁置換時期はそれぞれBDG前2/6例,BDG時1/1例,BDG-TCPC 3/0例,TCPC時1/0例であり,D群では殆どがBDG前に介入していた.術前のカテでは,L群(6例):CVP 10,SVEDP 10,PAP 13,D群( 3例):CVP 18,SVEDP 14,PAP 26であり,D群では術前より心不全兆候を認めていた.カテを行わずに弁置換した4例は術前のエコーで全例心収縮が低下していた.死因は早期(3例)は心不全:1,肺出血:1,脳出血:1,遠隔期(4例)は心不全:2,sepsis:1,反復気胸:1だった.PMIを必要としたのは2/3例だった.D群の術後平均1.5年のカテ(3例)ではCVP16 EDP13 PAP25 SVEF 52%であり,弁機能は保たれていたがBDG,TCPCへ進めていなかった.L群では平均2.9歳でTCPC到達しており,弁置換後平均5年で行っているカテ(6例)ではCVP 12,SVEDP 7,PAP 11,SVEF 56%と良好だった.また弁置換を含めた再手術は認めなかった.【まとめ】早期・低体重で房室弁置換を必要とした症例は予後が悪かった.T弁形態は形成困難で早期に弁置換となっていた.出生後早期から高度の逆流を呈する症例は救命が困難だったが,弁置換自体は死亡,Fontan failureの直接原因ではなく,体格によっては心機能が低下する前の比較的早期に弁置換を行うことが予後を改善させる可能性もあると考えた.