[III-OR33-01] 先天性心疾患患者に対する左側房室弁置換術の治療成績
キーワード:左側房室弁置換, 術後成績, 人工弁偏位
【背景】
小児領域における左側房室弁(LAVV)置換では,初回例においても人工弁挿入に工夫を要する事がある.また,弁置換後も身体成長に比し弁輪の成長が乏しく,再弁置換時の人工弁のサイズアップ(SU)に苦慮する事がある.当院では,弁位への人工弁挿入を基本とし,困難例では中隔側を心房側に偏位(ST)させる等で,目標サイズ(再置換では+2SU)の人工弁を挿入している.当院のLAVV置換の成績を示す.
【対象・方法】
2005年から2021年に32回のLAVV置換術を22例の先天性心疾患患者(CHD)に施行(初回(P):21,再弁置換(R):11).手術時年齢はPで中央値1.6[範囲0.4-17.9]歳,Rで12.8[5.9-19.0]歳.原疾患は房室中隔欠損:9,乳児特発性僧帽弁腱索断裂:3,Shone複合:2,他:8.P群の手術適応は閉鎖不全14例,狭窄兼閉鎖不全4例,狭窄3例.R群は全例が成長,又はパンヌス形成に伴う人工弁狭窄であった.
これらの臨床経過,手術所見,術前後の心臓超音波検査(UCG)データを検証.
【結果】
18例(P:15,R:3) が人工弁を弁位に挿入し,残り14例(P:6,R:8)は手技的工夫を加え弁輪から偏位させた.目標サイズの人工弁挿入の為,P2例,R8例でSTさせ,P1例で左房後壁側に後方偏位(PT)させた.房室中隔欠損,大動脈縮窄のP1例で左室流出路側弁輪にskirtをつけて前方偏位(AT)させた.また,最小体格のP1例(体表面積0.18m2)でAT,PT,STを組み合わせ人工弁16mmを挿入.
退院時UCG:mPG5.7[1.8-11.6]mmHg,TRPG27.9[11.0-71.6]mmHgで,手技的工夫の有無による差なし.
術後フォローアップ期間は5.3[0.1-18.3]年.術後には房室ブロックによるペースメーカ植込6例(P;4,R;2),ECMO2例(P;2),人工弁周囲逆流2例(P;1,R;1)などを認めたが,手技的工夫の有無による差なし.
術後P群2例,R群1例を失ったが,残り19例は生存しており,手技的工夫の有無による差なし.
【まとめ】
CHDに対するLAVV置換術では,初回,再弁置換に関わらず,手技的工夫を加えることにより目標とする人工弁の挿入が可能で,術後良好な成績であった.
小児領域における左側房室弁(LAVV)置換では,初回例においても人工弁挿入に工夫を要する事がある.また,弁置換後も身体成長に比し弁輪の成長が乏しく,再弁置換時の人工弁のサイズアップ(SU)に苦慮する事がある.当院では,弁位への人工弁挿入を基本とし,困難例では中隔側を心房側に偏位(ST)させる等で,目標サイズ(再置換では+2SU)の人工弁を挿入している.当院のLAVV置換の成績を示す.
【対象・方法】
2005年から2021年に32回のLAVV置換術を22例の先天性心疾患患者(CHD)に施行(初回(P):21,再弁置換(R):11).手術時年齢はPで中央値1.6[範囲0.4-17.9]歳,Rで12.8[5.9-19.0]歳.原疾患は房室中隔欠損:9,乳児特発性僧帽弁腱索断裂:3,Shone複合:2,他:8.P群の手術適応は閉鎖不全14例,狭窄兼閉鎖不全4例,狭窄3例.R群は全例が成長,又はパンヌス形成に伴う人工弁狭窄であった.
これらの臨床経過,手術所見,術前後の心臓超音波検査(UCG)データを検証.
【結果】
18例(P:15,R:3) が人工弁を弁位に挿入し,残り14例(P:6,R:8)は手技的工夫を加え弁輪から偏位させた.目標サイズの人工弁挿入の為,P2例,R8例でSTさせ,P1例で左房後壁側に後方偏位(PT)させた.房室中隔欠損,大動脈縮窄のP1例で左室流出路側弁輪にskirtをつけて前方偏位(AT)させた.また,最小体格のP1例(体表面積0.18m2)でAT,PT,STを組み合わせ人工弁16mmを挿入.
退院時UCG:mPG5.7[1.8-11.6]mmHg,TRPG27.9[11.0-71.6]mmHgで,手技的工夫の有無による差なし.
術後フォローアップ期間は5.3[0.1-18.3]年.術後には房室ブロックによるペースメーカ植込6例(P;4,R;2),ECMO2例(P;2),人工弁周囲逆流2例(P;1,R;1)などを認めたが,手技的工夫の有無による差なし.
術後P群2例,R群1例を失ったが,残り19例は生存しており,手技的工夫の有無による差なし.
【まとめ】
CHDに対するLAVV置換術では,初回,再弁置換に関わらず,手技的工夫を加えることにより目標とする人工弁の挿入が可能で,術後良好な成績であった.