第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演33(III-OR33)
外科治療 Ⅱ

2022年7月23日(土) 10:30 〜 11:20 第6会場 (小ホール)

座長:落合 由恵(JCHO九州病院 心臓血管外科)
座長:芳村 直樹(富山大学 第1外科)

[III-OR33-02] 主要体肺側副血行路を合併する単心室に対する治療戦略

山下 英次郎1, 山岸 正明1, 前田 吉宣1, 浅田 聡1, 本宮 久之1, 中井 理絵1, 夜久 均2 (1.京都府立医科大学小児医療センター小児心臓血管外科, 2.京都府立医科大学心臓血管外科)

キーワード:単心室MAPCA, 一期的UF, 肺高血圧

主要体肺側副血行路(MAPCA)を合併した単心室はFontan手術到達は困難とされる。本疾患群に対して,一期的肺動脈統合化手術(UF)と自己心膜roll/patchによる中心肺動脈(cPA)再建, Blalock-Taussig shunt(BTs)を行い,血管拡張剤導入しFontan手術を目指している。本治療戦略について検討した。【対象と手術】2002~22年の連続5例。右室性単心室(SRV)4例, 左室性単心室(SLV)1例。全例に肺動脈閉鎖, MAPCA合併。総肺動脈還流異常(TAPVR) 1例, 無脾症3例に合併。症例1:SRV,無脾,MAPCA 4本(右2左2), 術前SpO2 83%。2ヵ月時(4.1kg)UF+cPA拡大形成+BTs(φ4mm)施行。症例2:SRV,無脾,MAPCA 4本(右1左3),術前SpO2 82%。2ヵ月時(4.4kg)UF+cPA拡大形成+BTs(φ5mm)施行。症例3:SRV,MAPCA 5本(右2左3),術前SpO2 82%。6歳時(19kg)UF+両側BTs(左右に各φ5mm)。症例4:SRV,TAPVR(上心臓型),無脾, MAPCA 4本(右2左2), 術前SpO2 82%。8ヵ月時TAPVR 修復, 周手術期心不全に対しMAPCA絞扼術を追加。1歳10ヵ月(8.6kg)時に右側開胸で右UF及び右BTs(φ4mm), 2歳6ヵ月(9.4kg)時に左UF+PA形成+再BTs(φ5mm)を段階的に施行。症例5:SLV, MAPCA 4本(右2左2), 術前SpO2 70%。1歳5ヵ月時(9.7kg)UF+自己心膜roll cPA再建+BTs(φ5mm)を施行。【結果】症例1,2:それぞれ22ヵ月でFontan手術に到達。それぞれ10歳時,15歳時の心臓カテーテルで平均PA圧(mmHg)はA:13,B:9。肺血管抵抗(U/m(2 ))は1:1.8,B:0.9と良好。症例3:術後A-V ECMO装着,手術死。症例4:左肺minor APCAによる順行性血流不良によりFontan適応から外れた。症例5:V-V ECMO 6日間装着, 13日目に人工呼吸器離脱し現在入院管理を継続中。O2 1LでSaO2 86%, 推定PA圧30mmHg。【考察】末梢PA発育が予後を左右するが,単心室例でもUFとcPA再建+血管拡張剤導入によりFontan手術へ到達し得る。乳児期もしくは幼児期早期のUF+cPA再建が肝要である。