[III-OR33-04] 機能的単心室対する新生児期体肺動脈シャントの成績
キーワード:体肺動脈シャント, 新生児, 単心室
【背景】出生後早期の体肺動脈シャント(SPS)が必要となる症例では、容量負荷による房室弁逆流の悪化や心機能低下をまねく可能性があり、肺血流調節を含めて治療に難渋する例も少なくない。【目的】当院で施行した新生児期SPS症例の治療成績を検討し適正な肺血流調節の在り方を考察した。【対象】2004年1月から2022年2月までに当院で施行した新生児期初回SPS:136例を対象とした。【結果】SPS手術時日齢は16.6±5.8日、体重:3.1±0.4kg、PA:例80、PS:56例、アプローチは側開胸:59例、正中77例でOn pump:37例。同時手術は肺動脈形成:14例、肺動脈弁切開:3例、ASD creation:3例、三尖弁形成(TVP):1例であった。シャントサイズは側開胸で3.5mm:40例、4mm:18例。正中で3mm:14例、3.5mm:47例、4mm:15例、5mm:1例であった。手術死亡は6例(4.4%)で19例(14.1%)が同一入院中に肺血流量の修正を要した。60例が2心室修復を目指し(B群)28例はBTS、RV-PA shuntによる肺血流の追加を行った。interstage の死亡を4認め、49例(81.7%)が根治に至った(3例待機)。76例はFontan手術を目指し(S群)Glennへのinterstageに20例で再手術(SPS追加:18例、ASD creation:1例、DKS+SPS:1例)、3例の死亡を認めた。64例(84.2%)が月齢:12±7.8カ月でGlenn手術に到達(3例待機、1例drop out)、Glenn手術後に1例が死亡した。58例(76.3%)が1.8±0.9歳でFontan手術に到達(3例待機)しており、Fontan手術前の平均肺動脈圧:13±3.4mmHg、PAI:273±130mm2/M2。LVEDP:9.5±3.0mmHgで肺動脈の発育は良好であった。両群とも根治/Fontan到達後の遠隔死亡はなく生存率(B群/S群)は5年、10年とも:91.4%/88.1%であった。【結語】新生児期にSPSが必要となる症例では、急性期のみならず遠隔期を含め根治までの厳重な管理が必要である。