[III-OR33-05] 心外導管型TCPC完成時期による周術期及び術後成績の検討
キーワード:フォンタン, 周術期管理, 術後成績
【背景】TCPC手術完成の適切な時期に関しては一定の見解が得られていない。当院では近年、条件が良ければ早期フォンタン循環完成を目指す方針としてきた。当院での初回TCPC成績を完成時期年齢によって後方視的に検討した。【方法】2014年1月から2022年1月の期間で全50例の心外導管型TCPC手術例を年齢により2群に分類、2歳未満(Y群)26例(18.6±2.5カ月)、2歳以上(O群)24例(44.0±40.2カ月)。体重はY群10.0±1.3kg, O群13.4±8.9kg(p=0.057)、診断はY群O群それぞれHeterotaxy 7例:5例、SV 6例:2例、HLHS 3例:2例、DORV 3例:7例で2群間に差は認めず。【結果】TCPC前の側副血管へのcoil治療回数はY群で優位に低かった(0.6±0.7回 vs 1.0±0.8回, p=0.041)。TCPC導管サイズはY群17.2±1.3 vs O群17.6±2.0mmで差はなし(p=0.37)。FenestrationはY群6例、O群7例作成した(p=0.62)。術後胸腔ドレナージ期間、入院期間に両群間で差はなかったが、Y群では優位に再ドレーン留置例が少なかった(0例 vs 4例, p=0.03)。術後平均30.8±30.4か月のfollow-up期間中TCPC後、両群全例生存も、O群でNYHA3度以上1例、PLE1例認めた。術後ヒアルロン酸値はY群で優位に低値であった(27.6±16.7 vs 61.1±56.3 ng/ml, p=0.013)。【結論】2歳未満の心外導管型TCPCは適切な導管サイズを留置できるだけでなく、周術期、短中期成績も良好であった。長期的な予後はまだ不明であるが、早期TCPC完成によってチアノーゼ期間短縮や早期の肺への腹部臓器血液還流のメリットが期待できるかもしれない。