[III-OR34-01] 小児心疾患患者における新型コロナウイルスmRNAワクチン接種の安全性と免疫応答の評価
キーワード:新型コロナウイルス, ワクチン, COVID-19
【背景】新型コロナウイルス感染症は、小児心疾患患者の社会活動にも大きな影響を与えている。わが国では2022年2月現在、12歳以上でmRNAワクチン接種が可能であるが、様々な基礎疾患、特に先天性心疾患や心不全を抱える小児における安全性と、接種後の液性および細胞性免疫を総合的に評価された報告はない。
【方法】12-19歳の心疾患患者26名(二心室修復3名、単心室修復7名、IPAH4名、DCM4名、心移植後8名)と12-17歳の健常児5名の計31名を対象とし、接種前・1回目接種3週後・2回目接種1カ月後において、スパイクタンパクIgG抗体、武漢型偽ウイルスに対する中和活性、クオンティフェロンによる細胞性免疫能(INFγ量)を評価した。
【結果】年齢中央値(IQR)は15歳(13-17歳)で男児が48%であった。全62回の接種のうち発熱が34%にみられたが全例2日以内に改善した。接種部疼痛は45%、全身倦怠感は11%でみられた。移植後拒絶反応を含めて重篤な副反応は認めなかった。2回目接種後の中和抗体活性(ID50)の中央値(IQR)は健常児3578 (2340-4244)、心疾患児1997 (396-3622.8)で、INF-γ(IU/mL)はそれぞれ0.766 (0.398-1.417)、0.86 (0.136-1.922)で有意差はなかった。健常児全例と心疾患児26名中21名(81%)で十分な中和抗体と細胞性免疫獲得を認めたが、心移植後8例中4例とFontan後重症PLEの1例で抗体および細胞性免疫獲得を認めなかった。さらに心移植後の2例では中和抗体活性の上昇は認めたもののIFNγ産生は低値であった。IgG抗体力価および中和抗体活性とIFNγ産生量との間には有意な相関を認めなかった。心移植後患者において、中和抗体獲得例と非獲得例で、免疫抑制剤の種類やトラフ値、移植後年数、総IgG値など臨床的背景に有意差を認めなかった。
【結語】新型コロナウイルスmRNAワクチンは小児心疾患患者においても安全に接種可能で概ね十分な液性・細胞性免疫を獲得できるが、免疫抑制薬はその作用を減弱させる。
【方法】12-19歳の心疾患患者26名(二心室修復3名、単心室修復7名、IPAH4名、DCM4名、心移植後8名)と12-17歳の健常児5名の計31名を対象とし、接種前・1回目接種3週後・2回目接種1カ月後において、スパイクタンパクIgG抗体、武漢型偽ウイルスに対する中和活性、クオンティフェロンによる細胞性免疫能(INFγ量)を評価した。
【結果】年齢中央値(IQR)は15歳(13-17歳)で男児が48%であった。全62回の接種のうち発熱が34%にみられたが全例2日以内に改善した。接種部疼痛は45%、全身倦怠感は11%でみられた。移植後拒絶反応を含めて重篤な副反応は認めなかった。2回目接種後の中和抗体活性(ID50)の中央値(IQR)は健常児3578 (2340-4244)、心疾患児1997 (396-3622.8)で、INF-γ(IU/mL)はそれぞれ0.766 (0.398-1.417)、0.86 (0.136-1.922)で有意差はなかった。健常児全例と心疾患児26名中21名(81%)で十分な中和抗体と細胞性免疫獲得を認めたが、心移植後8例中4例とFontan後重症PLEの1例で抗体および細胞性免疫獲得を認めなかった。さらに心移植後の2例では中和抗体活性の上昇は認めたもののIFNγ産生は低値であった。IgG抗体力価および中和抗体活性とIFNγ産生量との間には有意な相関を認めなかった。心移植後患者において、中和抗体獲得例と非獲得例で、免疫抑制剤の種類やトラフ値、移植後年数、総IgG値など臨床的背景に有意差を認めなかった。
【結語】新型コロナウイルスmRNAワクチンは小児心疾患患者においても安全に接種可能で概ね十分な液性・細胞性免疫を獲得できるが、免疫抑制薬はその作用を減弱させる。