[III-OR34-04] 若年性生物学への取り組みによる小児循環器難病に対する新規治療戦略の確立を目指して
キーワード:若年性生物学, 若年性遺伝子, 新規治療戦略の確立
【背景】小児は成人とは異なり、成長・成熟・適応・可塑性・再生など多くの生理的特質を持ち、「若年性」と総称して位置づけている。しかし、若年性を活用することによる小児循環器難病の治療戦略には前例が限られている。【目的】これまでに得られた小児循環器に関連する若年性生物学の全容を踏まえ、若年性を活用した小児循環器難病の新規治療戦略の確立を目指した取り組みについて報告する。【方法と結果】マウスをモデル動物として活用した解析により、小児期に高発現する遺伝子群として「若年性遺伝子 (juvenility-associated genes。以下、 JAGs) 」を同定した。JAGsの中には、小児期の心筋細胞に特有のオルタナティブ・スプライシングを担うSRSF7や小児細胞の細胞老化を抑制するロング・ノンコーディングRNAであるGm14230などが含まれた。さらに、液-液相分離 (phase separation) を通じてチューブリン重合の反応場を与え得るBex1や新規のリン脂質代謝分子を同定した。【考察】これらの新規知見に基づき、若年性に着眼した分子医学研究が、小児期循環器の生理的性質の分子基盤を明らかにし、新たな新規治療戦略の確立につながるものと考えられた。