The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

その他

一般口演34(III-OR34)
その他

Sat. Jul 23, 2022 12:50 PM - 1:40 PM 第6会場 (小ホール)

座長:平田 陽一郎(北里大学 小児科)
座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[III-OR34-05] 3Dプリンタを利用した臨床上の課題克服 PIカテーテルの事象から

竹下 直樹, 池田 和幸, 池村 高明, 喜多 優介, 遠藤 康裕, 西川 幸佑, 河井 容子, 梶山 葉, 中川 由美 (京都府立医科大学 小児科)

Keywords:3Dプリンタ, PIカテーテル, 3Dモデル

【背景】3Dプリンタは生体モデル作製等で医療界へ高度に応用されている.熱積層式(FDM)・光造形式(SLA)の3Dプリンタは安価に入手でき,容易にプロトタイプモデルが作製可能で,一般臨床現場でも活用が期待される.3Dプリンタを利用した臨床上の課題克服に関する自験例を報告する.【目的】PIカテーテル®(以下PI)は小児循環器領域においてカテコラミンやプロスタグランディン製剤等を長期確実に中心静脈投与するための必須デバイスである.一方でその細さ故,体内外で屈曲し薬剤の入むらが生じ,循環変動を来しうる.留置の際に一般の静脈カニューラを用いた場合は,カニューラとPIルアー部の嵌合部が体動などで屈曲・閉塞基点となる場合がある.一度嵌合部がずれると修復が困難で,循環動態変化や自己抜去に繋がることが当院で問題視され,本事象を克服することを目的とした.【方法】嵌合した状態を鋳型にし,容易に装着可能で外れにくいキャップをデザインし,FDMではABS樹脂を,SLAではUVレジンを用いて作製し,学内医療安全部承認のもと装着した.【結果】テープ固定群(T群)は2020年12-翌年2月,キャップ装着群(C群)は2021年4-6月の3ヶ月間を観察期間とした.PI使用数はT:15本,C:16本,留置日齢は中央値T:110(0-203)日齢 C:129(0-1394)日齢,留置期間はT:36(11-81)日, C:46(17-147)日であった.T群では嵌合部が原因の閉塞は14件で,事象発生までの日数は30.5日(8-38日),13件は嵌合内屈曲を解除するためPIを引き抜いて固定せざるをえなくなり,1件は先端位置の大幅な変化から再確保を要した.一度嵌合部が抜けると,同一患者で繰り返し事象が発生する傾向が見られた.C群では事象は0件であった.10ヶ月間で66件キャップを装着し,嵌合部トラブルや破損は1件もない.【まとめ】3Dプリンタを活用し様々な臨床上の課題を克服しうる.材質や要求される強度,人体への影響は事前に十分検討し安全生に留意する必要がある.