[III-OR36-01] 未熟児動脈管開存閉鎖術後、Post PDA Ligation Cardiac Syndrome発症の予測因子
キーワード:post patent ductus arteriosus ligation cardiac syndrome, premature baby, predictor
【背景】未熟児動脈管開存症(未熟児PDA)に対する外科的閉鎖後の循環不全はpost PDA ligation cardiac syndrome: PLCSとして知られており、術後3割程度の症例に発症するとされている。動脈管閉鎖にともなう左室後負荷の増大、前負荷の減少が主な原因とされており、カテコラミン投与を必要とする低血圧が主な症状である。【目的】PLCS発症の予測因子を明らかにする。【方法】対象は2013年4月から2020年3月までに当院で外科的動脈管閉鎖術を施行したもののうち、出生体重1500g未満の児で他の心疾患や横隔膜ヘルニアを伴わない症例とした。術後24時間以内にカテコラミンを開始または増量した症例をPLCS群、そうでないものをnon PLCS群として後方視的に解析を行った。【結果】対象症例は46例でPLCS群9例、non PLCS群37例であった。観察期間中の手術死亡は3例(新生児壊死性腸炎1、敗血症2)、遠隔死亡はなかった。両群における性別、出生体重、手術時日齢、挿管期間、術後入院日数、新生児慢性肺疾患発症率、術前インドメタシン投与回数には差がなかった。またエコー上の動脈管径、左房/大動脈径比、左肺動脈拡張期血流速度にも差がなかった。 PLCS群で動脈管再開通症例が有意に少なく(1/7 vs. 19/30p<0.01)、閉鎖直後の収縮期血圧(47.0±7.9 vs. 56.1±10.1, p=0.01)が有意に低く、閉鎖前後の収縮期血圧の差はPLCS群で有意に小さかった(5.4±4.5 vs. 12.3±9.3、p=0.004)。閉鎖前の収縮期圧に差はなかったが、閉鎖前後の拡張期血圧に差はなかった。【結論】未熟児PDA外科的閉鎖において、動脈管未閉鎖症例、動脈管閉鎖前後の収縮期圧の差が小さいことは、PLCS発症の予測因子となり得る