[III-OR36-02] 低酸素下加圧培養によるヒト臍帯動脈平滑筋細胞由来の人工血管の作製
Keywords:人工血管, 平滑筋細胞, 低酸素下加圧培養
【背景】
先天性心疾患の大血管手術で使用する人工血管は合成素材が主流であるが, 患児の成長に伴う手術部の相対的な狭窄により再手術が必要になる症例がある. このリスクを低減する生体由来の人工血管が望まれる. 我々は培養細胞を加圧培養することにより細胞シートの作製に成功しているが, 人工血管としてより強度の高い細胞シートの作製が求められている.
【目的】
組織環境を模した低酸素条件下で加圧培養することにより, ヒト臍帯動脈平滑筋細胞 (hUASMC) から移植可能な細胞シートを作製する.
【方法】
低酸素下加圧培養したhUASMCで各種分子の発現を蛍光免疫染色, Western blottingと定量PCRで評価した. hUASMCを24時間毎に播種と低酸素下加圧培養を10回繰り返して細胞シートを作製し, その破断応力を計測した. 細胞シートをヌードラットの腹部大動脈に移植し3週間, 3ヶ月, 5ヶ月後に解剖して組織学的検討を行った.
【結果】
低酸素下加圧培養により細胞-細胞外基質接着に関与するIntegrinα5とIntegrinβ1のタンパク質発現量はそれぞれ1.9倍 (n=5) と3.5倍 (n=5) に増加した. またIntegrinα5, Integrinβ1と細胞-細胞接着に関与するN-cadherinは細胞膜上における発現の増強を認めた. 細胞接着の調節因子であるNDRG1 mRNAは3.2倍 (n=7) に増加した. 細胞シートの破断応力は2132±227mmHg (n=5) だった. 細胞シートを移植したラットは16/17例が解剖までの期間生存した (移植後3週間 6/7例, 3ヶ月 6/6例, 5ヶ月 4/4例). 移植後3週間で移植部にラット平滑筋細胞の遊走と弾性線維の新生を認め, 内腔側は内皮細胞で覆われた. 移植したヒト由来細胞は漸減し5ヶ月で消失した.
【結語】
低酸素下加圧培養によって移植可能な強度を有する細胞シートの作製に成功し, 人工血管として使用できる可能性が示された. また, 低酸素下加圧培養が細胞接着関連分子を増加させることが細胞シートの頑健性に重要であることが示唆された.
先天性心疾患の大血管手術で使用する人工血管は合成素材が主流であるが, 患児の成長に伴う手術部の相対的な狭窄により再手術が必要になる症例がある. このリスクを低減する生体由来の人工血管が望まれる. 我々は培養細胞を加圧培養することにより細胞シートの作製に成功しているが, 人工血管としてより強度の高い細胞シートの作製が求められている.
【目的】
組織環境を模した低酸素条件下で加圧培養することにより, ヒト臍帯動脈平滑筋細胞 (hUASMC) から移植可能な細胞シートを作製する.
【方法】
低酸素下加圧培養したhUASMCで各種分子の発現を蛍光免疫染色, Western blottingと定量PCRで評価した. hUASMCを24時間毎に播種と低酸素下加圧培養を10回繰り返して細胞シートを作製し, その破断応力を計測した. 細胞シートをヌードラットの腹部大動脈に移植し3週間, 3ヶ月, 5ヶ月後に解剖して組織学的検討を行った.
【結果】
低酸素下加圧培養により細胞-細胞外基質接着に関与するIntegrinα5とIntegrinβ1のタンパク質発現量はそれぞれ1.9倍 (n=5) と3.5倍 (n=5) に増加した. またIntegrinα5, Integrinβ1と細胞-細胞接着に関与するN-cadherinは細胞膜上における発現の増強を認めた. 細胞接着の調節因子であるNDRG1 mRNAは3.2倍 (n=7) に増加した. 細胞シートの破断応力は2132±227mmHg (n=5) だった. 細胞シートを移植したラットは16/17例が解剖までの期間生存した (移植後3週間 6/7例, 3ヶ月 6/6例, 5ヶ月 4/4例). 移植後3週間で移植部にラット平滑筋細胞の遊走と弾性線維の新生を認め, 内腔側は内皮細胞で覆われた. 移植したヒト由来細胞は漸減し5ヶ月で消失した.
【結語】
低酸素下加圧培養によって移植可能な強度を有する細胞シートの作製に成功し, 人工血管として使用できる可能性が示された. また, 低酸素下加圧培養が細胞接着関連分子を増加させることが細胞シートの頑健性に重要であることが示唆された.