[III-OR37-05] 肺動脈分岐部狭窄を合併する肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損:動脈管組織を切除し自己肺動脈組織で再建するシャント手術の検討
Keywords:シャント, 肺動脈形成, 肺動脈狭窄
シャント手術は正中切開が一般的になっているが、肺動脈閉鎖(PA)に合併する肺動脈分岐部狭窄(CoPA)は以後の肺動脈の成長及び左右血流量に影響を及ぼすため、その手術手技選択に議論の余地がある。当院では動脈管(PDA)を切除した自己肺動脈組織のみでの肺動脈形成(Central strategy)を基本としている。今回CoPAを合併するPAVSD/PDAに対するCentral strategyの妥当性を検討した。【症例】1998年から2022年の間に当院でPAVSD/PDAに対し初回治療介入をしたのは連続33例(MAPCA合併症例は除外している)。うち初回手術としてシャント手術を行ったのは22例。22例をシャントのみの群(Non-Cent群=10例)とCentral strategyを併施した群(Cent群=12例)の2群に分け中期成績を後方視的に検討した。2群は{Non-Cent群・Cent群}で表記し値は平均±標準偏差を採用している。【結果】シャント施行時の日齢は{40±15・46±16}, 体重(kg)は{3.5±0.6・4.1±0.7}だった。術前エコーでの肺動脈分岐部径は、太い側(mm)/細い側(mm)で表記し{3.9±0.9/ 3.0±0.9=1.2±0.2 ・ 4.5±0.8/ 2.5±0.5=1.8±0.4: p<0.01}だった。術後死亡は2例{遠隔期不明死1例・入院中high flow shock1例}だった。残り20例は全例Rastelli手術に到達{月齢/体重10.4±3.8/6.3±1.7kg・9.7±3.5/7.8±1.5kg}。Inter-stageに再介入を要したのは{3例(シャント追加2, LPAステント1)・1例LPAバルーン}。Rastelli術時に肺動脈形成(パッチ拡大)を併施したのは{6例・1例}。Rastelli術後、肺動脈分岐部狭窄に対して外科的再介入を要したのは{1例・1例(Central strategy1例目)}。直近のPAI(mm2/m2)はそれぞれ{213±102・290±109}、一側肺動脈狭窄は{1例・0例}だった。【結語】PAVSD/PDAに合併するCoPAに対して、動脈管組織を切除し自己肺動脈組織で再建するシャント手術:Central strategyは、以後の肺動脈への外科的介入頻度を減らす可能性がある。