[III-P6-1-03] 先天性門脈欠損症を伴う左側相同の臨床像
Keywords:先天性門脈欠損症, 左側相同, 肝肺症候群
【背景】左側相同に合併する先天性門脈欠損症(CAPV)は稀な疾患であり、詳細な臨床経過の報告は多くはない。【症例1】intermittent AVSD、IVC欠損、新生児マススクリーニングでガラクトース血症を指摘され、MRAで肝外門脈から奇静脈へ接続する異常血管を認めた。心不全傾向が進行し生後2ヶ月で心内修復術を施行、人工心肺離脱後に肺出血をきたし術後3日間のECMO管理を要した。コントラストエコー陽性であり、肝肺症候群による肺動静脈奇形(PAVM)が強く疑われた。1歳1ヶ月時のシャント血管閉鎖試験で門脈圧28mmHgと高値であり、1歳8ヶ月で生体部分肝移植を施行した。【症例2】right dominant unbalanced AVSD, CoA, bilateral SVC, IVC欠損。生後9日で両側肺動脈絞扼術、1ヶ月時ノーウッド手術、8 ヶ月時に両側グレン手術を施行。術後カテーテル検査ではmPAP=11mmHg、RpI=1.0 Wood・unit、PA index 124 mm2/m2であり1歳7ヶ月でextracardiac conduit TCPC術を施行。術後遷延性胸腹水と著名な肝腫大をきたし、造影CTで肝内門脈造影不良、肝外門脈から肝静脈へ至る拡張した異常血管を認めCAPVと診断。臨床経過の改善なく術後27日でグレン+ additional shuntへのtake downを要した。【考察】症例1では肝肺症候群によるPAVMが早期症候化と術後肺出血に影響したと考えられた。症例2ではマススクリーニングは正常、無症状でありTCPC施行後までCAPVの診断に至らなかった。Fontan循環不全の要因として、門脈欠損と異常短絡血管によるconduit血流のdriving pressure不足が考えられた。【結語】CAPVは症状に幅のある疾患であるが循環動態に影響し得るため、左側相同では特に腹部エコー・造影CTによる早期診断が肝要である。