[III-P6-1-07] 胎児期より疑われた総肺静脈閉鎖症の2例
Keywords:総肺静脈閉鎖, 胎児診断, チアノーゼ
【背景】総肺静脈閉鎖症(common pulmonary vein atresia, 以下CPVA)は、極めて稀だが致死的疾患である。胎児期より疑い、出生後に診断したCPVA2症例を経験したので報告する【症例1】胎児期に左側相同、両大血管右室起始、完全型房室中隔欠損、下大静脈欠損、奇静脈結合、両側上大静脈と診断。肺動脈は低形成で動脈管もしくは主要体肺側副血行路を介しており、心房や体静脈に還流する肺静脈血流は確認できなかった。肺動脈もしくは肺静脈の高度狭窄または低形成と判断した。出生後の治療介入が困難である可能性を両親、医療者間で共有し、可能な限り治療を行いたいという両親の意向も踏まえ出生後の診断、治療をすすめる方針とした。出生後の心エコー、造影CTで肺静脈、共通肺静脈腔は描出できず、肺動脈閉鎖で肺血流は動脈管に依存していた。出生後SpO2は100%酸素でも50%と著明なチアノーゼを認めた。外科介入は不可能と判断し緩和治療の方針とし、日齢1に永眠した【症例2】胎児期に共通肺静脈腔を形成するも還流部位が不明で、肺静脈血流は単相性であることから、肺静脈閉鎖症と診断した。出生後の心エコー、造影CTでも垂直静脈は描出できず、下大静脈や左胃静脈などに還流する無数の側副血行路が認められた。食道閉鎖症(C型)も伴っており、同日、総肺静脈還流異常修復術、食道絞扼術を行なった。術後、肺静脈狭窄は認めなかったが、リンパ管拡張症に起因する難治性胸水のため生後4ヶ月に永眠した【考察】胎児心エコーで共通肺静脈腔が確認できない場合は救命が困難である。共通肺静脈腔が認められた場合は術後の治療介入を考慮する。しかし他の合併奇形やリンパ管拡張症の管理に難渋することがあり、出生前からの治療戦略の立案および患者家族への説明は重要である。