[III-P6-1-08] 先天性横隔膜ヘルニア合併のエプスタイン病の管理治療経験
キーワード:エプシュタイン奇形, 先天性横隔膜ヘルニア, 肺高血圧症
【はじめに】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)とエプスタイン病の合併は極めて稀である。今回、胎児期に両疾患を診断し、治療計画を立案の上、新生児治療に移行した症例を経験した。
【症例】妊娠23週の健診時に、左側CDHとエプスタイン病の合併が認めた。LT比 0.16、o/e LHR 53.7(tracking法)、Kitano分類Grade2、Liver downの所見で妊娠経過を通して大きな変化はなく、CDHとしては中等症と判断した。一方で、三尖弁逆流は経過とともに徐々に増悪し、CTAR 28% (妊娠23週)、55% (妊娠29週)であった。また、診断時順行性であった肺血流は、32週ではCircular shuntには至っていないものの肺動脈弁逆流を認めるようになった。妊娠32週頃から胎児水腫を認め、36週に入り増悪がみられたため、ECMOをスタンバイした上で、妊娠36週5日に選択的帝王切開で児の娩出に至った。出生体重は2832g、SpO2 80%程度で、肺動脈の順行性血流もみられたため緊急の手術は行わず内科管理とした。出生時の心エコーでは中隔尖のplastering 12.3mmあり、TR severe, TRPG 54.5mmHg, PR mild, GOSE score 0.76, Grade2であった。日齢2にCDH根治術を行い、その後は動脈管の左右シャントによる心不全が増悪したため日齢7に動脈管結紮と右房縫縮を行い、術後からNOを開始して肺高血圧治療を行った。呼吸循環管理に難渋したが日齢40にはICUからNICUへ移動することができた。肺低形成による呼吸障害と肺高血圧が危惧されたが、経過とともに徐々に呼吸状態は改善し日齢98で抜管した。肺高血圧に対してはシルデナフィル、マシテンタンを開始し、NOは漸減し、日齢173で中止した。
【まとめ】出生前から重症度予測、分娩時期の決定、出生後の管理方針について準備することで、スムーズに新生児治療へ移行できた症例であった。肺低形成による呼吸障害、肺高血圧が心配されたが、経過とともに肺の拡張が得られ現時点ではコントロールできている。
【症例】妊娠23週の健診時に、左側CDHとエプスタイン病の合併が認めた。LT比 0.16、o/e LHR 53.7(tracking法)、Kitano分類Grade2、Liver downの所見で妊娠経過を通して大きな変化はなく、CDHとしては中等症と判断した。一方で、三尖弁逆流は経過とともに徐々に増悪し、CTAR 28% (妊娠23週)、55% (妊娠29週)であった。また、診断時順行性であった肺血流は、32週ではCircular shuntには至っていないものの肺動脈弁逆流を認めるようになった。妊娠32週頃から胎児水腫を認め、36週に入り増悪がみられたため、ECMOをスタンバイした上で、妊娠36週5日に選択的帝王切開で児の娩出に至った。出生体重は2832g、SpO2 80%程度で、肺動脈の順行性血流もみられたため緊急の手術は行わず内科管理とした。出生時の心エコーでは中隔尖のplastering 12.3mmあり、TR severe, TRPG 54.5mmHg, PR mild, GOSE score 0.76, Grade2であった。日齢2にCDH根治術を行い、その後は動脈管の左右シャントによる心不全が増悪したため日齢7に動脈管結紮と右房縫縮を行い、術後からNOを開始して肺高血圧治療を行った。呼吸循環管理に難渋したが日齢40にはICUからNICUへ移動することができた。肺低形成による呼吸障害と肺高血圧が危惧されたが、経過とともに徐々に呼吸状態は改善し日齢98で抜管した。肺高血圧に対してはシルデナフィル、マシテンタンを開始し、NOは漸減し、日齢173で中止した。
【まとめ】出生前から重症度予測、分娩時期の決定、出生後の管理方針について準備することで、スムーズに新生児治療へ移行できた症例であった。肺低形成による呼吸障害、肺高血圧が心配されたが、経過とともに肺の拡張が得られ現時点ではコントロールできている。