[III-P6-1-11] 乳児早期に心内修復し得た、冠動脈肺動脈瘻を合併する肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損、主要体肺側副血管の一例
Keywords:Coronary artery-pulmonary artery fistula, Pulmonary atresia with ventricular septal defect, synthetic ECG-gating scan
【背景】
肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)において、冠動脈肺動脈瘻(CPAF)を有する例は稀である。今回私たちは、模擬心電同期冠動脈CT(secCT)による術前評価を行い、乳児早期に心内修復した症例について、文献的考察を加えて報告する。
【症例】
胎児期よりPAVSD、主要体肺側副血管(MAPCAs)が疑われ、在胎37週5日2733g、予定帝王切開で出生した。日齢2に造影CTを撮像し、左右計6本のMAPCAを同定した。MAPCAの1本が左バルサルバ洞から起始し右肺へと走行していたが、左冠動脈の走行は不明であった。日齢38に行った心臓カテーテル検査で、左冠動脈と左バルサルバ洞からのMAPCAは、同一起始であると考えられた。月齢3に行ったsecCT(設定心拍数120bpm)では、左冠動脈の走行が明瞭に描出され、同MAPCAとの間に瘻孔が認められた。高肺血流性肺高血圧および心不全があり、月齢4に外科的MAPCA-CPAF離断、partial-unifocalization of MAPCA、right modified BT shuntをおこなったが、以後も心不全が持続し、月齢5にRastelli型手術、月齢6に残存MAPCAに対するunifocalizationを実施し、術後2ヶ月で退院した。抗心不全療法、肺血管拡張薬、左肺動脈狭窄に対するバルン拡張術を行い、明らかな心筋虚血所見はなく術後1年の経過は良好である。
【考察・結語】
過去のCPAFを合併するPAVSD/MAPCAの報告では、左冠動脈とMAPCAの間に瘻孔を有する例が多く、本症例と一致していた。CPAFの診断は心臓カテーテル検査による報告が多かったが、本例は侵襲性の少ないsecCTを用いた評価に基づいた正確な診断と治療戦略により、良好な治療成績が得られることを示す一例である。
肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)において、冠動脈肺動脈瘻(CPAF)を有する例は稀である。今回私たちは、模擬心電同期冠動脈CT(secCT)による術前評価を行い、乳児早期に心内修復した症例について、文献的考察を加えて報告する。
【症例】
胎児期よりPAVSD、主要体肺側副血管(MAPCAs)が疑われ、在胎37週5日2733g、予定帝王切開で出生した。日齢2に造影CTを撮像し、左右計6本のMAPCAを同定した。MAPCAの1本が左バルサルバ洞から起始し右肺へと走行していたが、左冠動脈の走行は不明であった。日齢38に行った心臓カテーテル検査で、左冠動脈と左バルサルバ洞からのMAPCAは、同一起始であると考えられた。月齢3に行ったsecCT(設定心拍数120bpm)では、左冠動脈の走行が明瞭に描出され、同MAPCAとの間に瘻孔が認められた。高肺血流性肺高血圧および心不全があり、月齢4に外科的MAPCA-CPAF離断、partial-unifocalization of MAPCA、right modified BT shuntをおこなったが、以後も心不全が持続し、月齢5にRastelli型手術、月齢6に残存MAPCAに対するunifocalizationを実施し、術後2ヶ月で退院した。抗心不全療法、肺血管拡張薬、左肺動脈狭窄に対するバルン拡張術を行い、明らかな心筋虚血所見はなく術後1年の経過は良好である。
【考察・結語】
過去のCPAFを合併するPAVSD/MAPCAの報告では、左冠動脈とMAPCAの間に瘻孔を有する例が多く、本症例と一致していた。CPAFの診断は心臓カテーテル検査による報告が多かったが、本例は侵襲性の少ないsecCTを用いた評価に基づいた正確な診断と治療戦略により、良好な治療成績が得られることを示す一例である。