[III-P6-2-04] フォンタン術後の難治性蛋白漏出性胃腸症(PLE)に対しミドドリン投与が効果的と考えられた3症例
キーワード:蛋白漏出性胃腸症, フォンタン術後, ミドドリン
【背景】フォンタン術後の続発症の1つに蛋白漏出性胃腸症(PLE)があるが、確立された治療法はなく、難治性であることも多い。発症機序については不明な点も多いが、肝十二指腸リンパ瘻の関与も疑われ、近年、α受容体刺激薬であるミドドリンが有効であるとの報告が散見される。当科でフォロー中のPLE症例に対してミドドリンを導入したため、導入後の経過について報告する。
(症例1)14歳男性。HLHSの診断で4歳時に開窓フォンタン手術を施行。5歳時にPLEを発症、12歳時にfenest creation +stent留置を施行されたが、寛解増悪を繰り返した。定期補充下でもAlbは低下傾向となり、ミドドリン導入したところAlbの上昇が得られた。
(症例2) 26歳女性。多脾症、DORV, PAの診断で5歳時に開窓フォンタン術を施行。12歳時にPLEを発症、利尿剤の強化や肺血管拡張剤導入を行ったが寛解増悪を繰り返した。ミドドリンを導入したところAlbは上昇傾向となった。
(症例3) 28歳女性。TA(Ic)の診断で1歳時に開窓フォンタン術を施行。11歳時にPLEを発症、長期ブデソニド内服下で寛解増悪を繰り返し、頻回補充を要したため27歳時に肝十二指腸リンパ瘻塞栓術を他院で施行した。以後状態は安定して経過したが、ステロイド糖尿病を発症した際にAlb低下傾向となった。ミドドリンを増量したところAlbは上昇傾向となった。
【考察】3症例とも頻回補充の既往があり管理に難渋しているPLE症例だが、ミドドリン導入後はAlbは上昇傾向となり、補充を要さずに経過している。ミドドリン導入による副作用は認めておらず安全に使用できている。
【結語】フォンタン術後のPLEに対するミドドリン投与は有効な治療と考えられる。長期的な効果や至適用量については症例の蓄積によるさらなる検討が必要である。
(症例1)14歳男性。HLHSの診断で4歳時に開窓フォンタン手術を施行。5歳時にPLEを発症、12歳時にfenest creation +stent留置を施行されたが、寛解増悪を繰り返した。定期補充下でもAlbは低下傾向となり、ミドドリン導入したところAlbの上昇が得られた。
(症例2) 26歳女性。多脾症、DORV, PAの診断で5歳時に開窓フォンタン術を施行。12歳時にPLEを発症、利尿剤の強化や肺血管拡張剤導入を行ったが寛解増悪を繰り返した。ミドドリンを導入したところAlbは上昇傾向となった。
(症例3) 28歳女性。TA(Ic)の診断で1歳時に開窓フォンタン術を施行。11歳時にPLEを発症、長期ブデソニド内服下で寛解増悪を繰り返し、頻回補充を要したため27歳時に肝十二指腸リンパ瘻塞栓術を他院で施行した。以後状態は安定して経過したが、ステロイド糖尿病を発症した際にAlb低下傾向となった。ミドドリンを増量したところAlbは上昇傾向となった。
【考察】3症例とも頻回補充の既往があり管理に難渋しているPLE症例だが、ミドドリン導入後はAlbは上昇傾向となり、補充を要さずに経過している。ミドドリン導入による副作用は認めておらず安全に使用できている。
【結語】フォンタン術後のPLEに対するミドドリン投与は有効な治療と考えられる。長期的な効果や至適用量については症例の蓄積によるさらなる検討が必要である。