[III-P6-2-06] Fontan associated liver disease(FALD)の小児・成人移行期医療の現状と課題
Keywords:Fontan, 肝障害, FALD
【背景】Fontan手術(F術)では成人期到達症例が増加しており、循環器移行期医療の中心的疾患群である。F術では慢性的な中心静脈圧(CVP)上昇や心拍出量低下によるうっ血性肝障害をきたし、Fontan associated liver disease(FALD)の概念が提唱された。【目的】肝細胞癌(HCC)合併例を提示し、F術後臨床像を比較してFALDの現状と課題を明らかにする。【方法】当院管理中のF術後症例77例(うちHCC合併1例)において、肝臓内科医介入の有無を調査した。また肝線維化指標(Fib-4 index: F4I)と術後経過期間、CVP、心係数(CI)の関連性を評価した。【結果】対象者年齢は平均13.9(range: 2-55)歳、F術施行は平均2.3(1-22)歳、F術後観察期間は平均11.6(0.35-31)年。18歳以上で肝臓内科医の介入は16/22例(72.8%)、FALDは6/22例(27.3%)であった。F4Iと術後経過期間(r=0.090, p<0.01)、BNP(r=0.506, p<0.05)に正の相関関係が見られた。一方、F4IとCI(r=0.053, p=0.052), CVP (r=4.098e-0.05, p=0.957)に相関関係は見られなかった。HCC合併例(28歳女,F術後24年)はCVP: 14 mmHg、CI: 3.08 Um2、AST/ALT: 33/38 U/L、F4I: 1.03、BNP: 62.6 pg/mL、AFP: 621 ng/mLであった。【考案】特異的に高CVP・低CIで肝線維化が出現するのではなく、F術後期間に伴い肝線維化は進行する可能性がある。【結語】Fontan循環が良好であっても経時的にFALDは発症すると考えられた。HCC合併は既存の肝線維化マーカーのみでの予測は困難であり、画像検査やAFPの定期的観察が肝要である。