[III-P6-3-05] 肺動脈異形成弁における経皮的バルーン拡張術の効果予測因子
Keywords:肺動脈異形成弁, 経皮的肺動脈弁形成術, カテーテル治療
【目的】肺動脈異形成弁は(1)弁の癒合を伴わず三尖弁構造で(2)弁尖の肥厚(≧3-4mm)を伴い(3)弁尖可動性低下と弁輪自体の狭小化により、有効弁口面積が減少している病態で、経皮的肺動脈弁形成術(BVP)の効果が限定的である。本研究ではBVPの有効性に焦点をあて肺動脈異形成弁の形態的特徴を定量化することを目的とした。【方法】過去20年間にBVPを行った症例を対象として、BVP急性効果があった症例(癒合弁群)となかった症例(異形成弁群)に分けて、肺動脈弁輪径、肺動脈洞径、肺動脈洞高、洞血管移行部(sinotubular junction:STJ)径を測定し比較した。BVP急性効果とは治療前後で右室圧低下率≧30%とした。また各計測値は体表面積で補正した。【結果】123手技(117例)を対象とした。年齢は14.7±28.6か月歳(中央値5、0-157か月)、体重は8.3±5.6kg(中央値6.9、2.8-37kg)であった。癒合弁群と異形成弁群の各群において、肺動脈弁輪径24.1±6.0mm vs. 23.8±5.2mm(P=0.694)に有意差はなかったものの、肺動脈洞径34.2±7.2mm vs. 29.6±6.4mm(P=0.006)、STJ径28.8±6.7mm vs. 20.9±6.4mm(P=0.001)は有意に小さかった。肺動脈洞高21.5±4.9mm vs. 21.9±5.6mm(P=0.668)に有意差はなかった。肺動脈洞径/肺動脈弁輪径比は1.44±0.20 vs.1.26±0.15(P<0.001)も有意に異形成弁が小さくあり、肺動脈洞径/肺動脈弁輪径比1.35が感度81%、特異度63%(AUC0.76)でBVP急性効果を予測できた。また最終観察時(観察期間5.4±5.1年)においてTRPG 23±7mmHg vs. 23±7mmHg(P=0.884)と2群間有意差は認めなかった。【考察】肺動脈弁異形成弁の特徴として肺動脈洞低形成が示唆された。異形成弁では急性効果は期待できなくとも弁自体の成長により圧較差が低減するため積極的な追加治療等の対象とならない可能性が考えられた。