[III-P6-4-01] 小児における頻脈性不整脈に対するランジオロールの有効性
キーワード:小児不整脈, ランジオロール, β遮断薬
【背景】成人領域では頻脈性不整脈に対するランジオロールの有効性は明らかであるが、小児への有効性を示したものはまだ少なく、未だ適応外使用となる。【目的】小児の頻脈性不整脈に対するランジオロールの有効性と問題点を明らかにすること。【方法】当院で2009年1月から2021年12月にランジオロールの投与を行った小児30例のうち、28例を対象とした。ECMO導入中患者1例、頻脈性不整脈の予防的投与として使用した1例は除外した。【結果】年齢中央値は7.5ヶ月(日齢6-12歳)、男児が13例、体重中央値が6.5kg(2.5-29kg)。正常心構造4例、先天性心疾患患者24例、心臓周術期患者20例、非周術期患者8例。頻脈性不整脈の診断は、異所性接合部頻拍が15例、心房頻拍が11例、心室頻拍1例、上室性期外収縮が1例。ランジオロールの最大投与濃度の中央値は10μg/kg/分(3-40μg/kg/分)。20例(71.4%)で洞調律化が得られ、20%以上の心拍数低下すなわち徐拍化が得られたものが5例(17.9%)で、全体で25例(89.3%)に有効であった。【考察】β受容体遮断薬は、交感神経β受容体に作用し、洞結節自動能の抑制、房室伝導速度の遅延、心房・心室筋の興奮抑制などに働く。本薬剤は心臓選択性が非常に高いβ1 受容体選択性で超短時間作用型である。今回、周術期以外の症例も含まれていたが、より有効性が高かったのは周術期例の方であった。理由として心臓手術侵襲により上昇する血中内因性カテコラミンを本剤が遮断することで効果が得られると考えられた。なお、本研究で洞調律化が得られなかった例や無効であった例、新生児術後症例を例に挙げ、使用方法の工夫や注意点を考察したい。【結語】小児の様々な頻脈性不整脈にランジオロールが高率に有効であることを改めて明らかにした。