[III-P6-4-02] 出生時から観察し、10歳で心房細動がみられた、基礎疾患のない洞不全症候群の1例
Keywords:洞不全症候群, 小児, 心房細動
【背景】小児期基礎疾患のない洞不全症候群(SSS)は稀で自然歴や診断基準等明らかでない。心室期外収縮(VPC)を契機に出生時から11歳現在まで観察し、10歳で心房細動(AF)を伴ったSSS1例を経験した。【症例】男児。母が無症候性WPW症候群。在胎39週2日、3010gで出生。生後不整脈ありVPCと診断した。安静時心拍数(HR)121/分。生後1日のホルターは総心拍数(THB)156700、VPC2200/日で観察を続けた。生後4ヶ月、安静時HR104/分、3分で2回接合部補充調律を伴う1.1秒のRR延長あり。生後7ヶ月時ホルターでTHB144961/日、VPC(-)、洞不整脈目立ちHR68~155/分、最長RR1.3秒と洞機能不全が疑われた。以下ホルター所見を1,2,3,4,5,6,7,8,9歳,10歳1ヶ月,10歳4ヶ月の順に示す。THB(/日)=132445, 120296, 95336, 93127, 87216, 81120, 84725, 78446, 81695, 68195, 71705、HR(範囲(平均)/分)= 50~179(92), 55~189(87), 45~142(68), 43~146(68), 43~129(63), 37~133(58), 38~148(63), 35~135(57), 27~132(59), 29~127(50), 31~140(56)、最長RR(秒)= 2.0, 1.8, 2.2, 2.3, 2.2, 2.2, 2.5, 2.5, 2.6, 2.8, 2.8。発達正常、無症状で6歳時野球を始め、安静時心拍数43/分、マスター負荷で最大HRは接合部調律126/分のためSSSと診断した。7歳2ヶ月で1度合唱中嘔気と顔面蒼白あり。9歳6ヶ月野球中嘔気ありD管理とした。10歳4ヶ月マスター負荷でAFあり。ワーファリン内服開始も以後AFは見つからない。BNP(pg/ml)は4歳70.8、6歳237.0、7歳134.4~37.2、8歳101.4~101.8、9歳81.7~33.9、10歳187.1~31.4で運動制限後低下したがAF時上昇した。【考察】最低HR、1日総心拍数共1歳~自検例の-2SD未満だが最長RR<3秒だった。明確な基準はないが洞性徐脈はホルターを行い、最低HRが低い場合観察が望ましい。ペースメーカー適応は議論がある。本症例は運動時の症状が疑われBNPも上昇したが運動制限で改善し、AFも一過性で観察中である。