[III-P6-4-04] 自閉症スペクトラム障害児のカテコラミン誘発多形性心室頻拍の管理
キーワード:カテコラミン誘発多形性心室頻拍, 自閉症スペクトラム, リアノジン受容体遺伝子異常
症例は6歳男児。幼稚園で走っている最中に突然転倒し意識消失し、当院救命救急センターに搬送され、VTと診断。DCとAmiodaroneとmagnesol静注にて洞調律に復帰したが、徐脈と心機能低下を認め、循環維持が困難のためECMO導入した。その後心機能の改善を認め入院6日目にECMO離脱、7日目に抜管、8日目に一般病棟に転棟した。 転棟後も心拍数の上昇に伴いVPCが頻発するため、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)を疑い、Propranololの内服を開始した。Propranolol 1mg/kg/日内服下でトレッドミル負荷試験を行い、心拍数(HR)80/分以上でVPC(右室流出路起源)が出現し、HR 100/分以上で2段脈、HR 130/分以上で3連発および二方向性のVPCが出現した。遺伝子検査にてリアノジン受容体2型のCPVT変異を認め、CPVTと診断した。 Propranolol内服にて安静時のHRは60/分程度であり、児の安静が維持できればVPCを認めず日常生活は可能と思われた。しかし、入院中から児はこだわりが強い、感覚過敏、コミュニケーションが苦手といった症状を認め、自閉症スペクトラム障害が疑われた。そのため、情動を自己管理できず、また運動制限を厳守できないと考えS-ICDを挿入となった。しかし、挿入1か月後に掻破が原因と思われる創部感染を起こしS-ICDを抜去。デバイス挿入の位置の問題や再度感染を起こす可能性を考慮しS-ICDの再挿入は困難と考え、心拍数管理をより厳密にするため、PropranololをNadololに変更して、経過観察中である。