[III-P6-4-05] 頻脈性不整脈によって急性腎障害を発症した腎性低尿酸血症の1例
キーワード:腎性低尿酸血症, 急性腎障害, 頻脈性不整脈
【症例】13歳女児。妊娠28週6日・体重1140gで出生、{S,L,L} DORV, PA, PLSVCと診断。2回のBTシャント手術を経て、1歳9ヶ月時にConventional Rastelli手術施行後、心保護療法としてエナラプリルやカルベジロールを導入されている。6歳時の評価では、LVSP/RVSP=47/89mmHg、RVEDV 123%N、RVEF 51%、TR2度と血行動態は比較的安定していた。11歳時、特に誘引なく昼間の授業中から気分不快・めまいや嘔吐を呈し、近医で輸液など対症療法を受けたが改善せず、翌朝に近医総合病院受診、心電図でHR180程度の上室性頻拍を認めた。当院転院中に自然に洞調律に復したが、嘔気と背部痛を自覚し、血液検査ではBUN 54mg/dL、Cr 1.75mg/dLと腎機能障害を認めた。エナラプリル中止と輸液により自然回復したが、Cr 0.65mg/dLまで復するまでに10日間を要した。腎障害解消後に0.4mg/dLと低尿酸血症を認め、FEUA 66.8%と高値、姉も低尿酸血症を指摘されていたことから遺伝子解析を行ったところ、URAT1/SLC22A12のp.W258Xのホモ変異を認め、腎性低尿酸血症1型と診断された。今後は、不整脈基質に対するアブレーション治療を予定している。【考察】腎性低尿酸血症は、近位尿細管の尿酸再吸収トランスポーターの機能低下型の遺伝子変異により引き起こされ、NSAIDs使用や激しい無酸素運動の後に急性腎障害を発症することがある。その病態は、尿酸による活性酸素種の排除が不十分となることで腎血管収縮が惹起されるためと推測されている。本症例では急性腎障害を惹起しうるエピソードはなかったが、頻脈性不整脈によって心筋で活性酸素種が産生・蓄積されたことで、不整脈・腎障害とも遷延したと考えられた。