[III-P6-6-04] 心臓MRI検査により検出可能であった急性リウマチ熱による心炎
キーワード:リウマチ熱, 心筋炎, 心臓MRI
【緒言】リウマチ熱による心臓病変としては、、弁膜症が一般的であるが心筋炎や心外膜炎も引き起こされる。これらは通常、心臓超音波検査や12誘導心電図によって診断することが可能である。今回、心臓超音波検査、12誘導心電図で異常がみられず、心臓MRIにより心筋炎および心外膜炎と診断し、A群β溶連菌による咽頭炎と合わせて最終的にリウマチ熱の診断に至った一例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は10歳男児。発熱で発症し、発熱3日目に前医を受診した。炎症反応高値、頸部リンパ節腫大、咽頭発赤、扁桃腫大、A群β溶連菌迅速試験陽性であり、A群β溶連菌性咽頭炎と診断された。入院の上ABPC/SBTで治療を開始され、速やかに解熱が得られた。入院2日目に胸痛が出現し、1時間程度で軽快した。入院3日目、再度胸痛が出現した。12誘導心電図で異常は無いものの、トロポニンT 5700 ng/mLであった。入院4日目、トロポニンT 6800 ng/mLと上昇傾向であり、心筋炎や虚血性心疾患疑いのため入院5日目に当院転院となった。受診時の心臓超音波検査や12誘導心電図で異常は認めなかった。症状はなくバイタルサインも安定していたため抗菌薬継続の上経過観察とした。転院後4日目、心臓造影MRI検査を施行し、脂肪抑制T2強調画像で心基部側壁から後壁に壁側から連続した高信号域を認めた。同部位で造影遅延も認め、心筋炎および心外膜炎と診断した。転院後6日日、咽頭培養でA群β溶連菌が陽性と判明しリウマチ熱と診断した。退院後もAMPCとアスピリンの内服を継続し現在まで再燃なく経過、発症6ヶ月後の心臓MRIで所見の消失を確認した。【考察】本症例は12誘導心電図や心臓超音波検査では異常がみられず、心臓MRI検査にて軽症の心筋炎や心外膜炎と診断でき、リウマチ熱の診断に至った稀少な症例である。本症例では、心筋炎および心外膜炎の診断に心臓MRIが非常に有用であったと考えられる。