[III-P6-6-06] 新型コロナウイルスワクチン接種後の心外膜炎2例
Keywords:新型コロナウイルスワクチン, 心外膜炎, 副反応
【背景】新型コロナウイルスワクチン接種後の心外膜炎が海外で報告されている。特に2回目接種後の若年男性に多く、死亡例はなく大半が軽症例で自然治癒するとされる。ただし、小児の詳細な報告例は未だ少なく、実際の心筋炎の臨床像は明らかではない。今回当院で経験した2例を報告する。【症例1】13歳男児。新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)の2回目を接種した翌日に全身倦怠感と頭痛が出現した。鎮痛薬で改善なく当院紹介となった。当初は起立性調節障害と診断し加療を行っていたが、症状の改善を認めなかった。経過中の血液検査でNT-proBNP 16.4 pg/mL 、心筋逸脱酵素の上昇(CKMB 11U/L、%CKMB 16%、トロポニンI 33.8 pg/mL)を認めた。心エコーではEF72%で、弁逆流等はなかったが、右室前壁に心嚢液を少量認めた。心臓MRIで、心機能は正常で心筋に異常な所見を認めなかった。初診から2か月、安静のみでは心筋逸脱酵素は異常値を推移し、心嚢液も消失せず、本人の症状も持続するため、γグロブリン2g/kgを投与した。投与数日後から倦怠感は改善、さらにCKMBやトロポニンIが正常化し、心エコーでは心嚢液が減少した。【症例2】17歳男児。起立性調節障害のため当院小児科でフォローしていた。新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)1回目を接種した翌日に、全身倦怠感と頭痛が出現した。2回目の接種後はさらに症状が悪化し、当院受診となった。血液検査で、CK 88 U/I、CKMB 4 U/L以下、NT-proBNP 32.3 mg/dLで正常値であったが、トロポニンI 34.2 pg/mLと軽度上昇を認めた。心エコーでは、EF73%で弁逆流等なかったが、右室前壁に心嚢液貯留を認めた。初診時より4か月、観察のみで心嚢液は減少したがトロポニンIに変化はみられない。【結語】新型コロナウイルスワクチン後に倦怠感や頭痛が遷延した時、心筋炎を念頭に心筋逸脱酵素や心臓超音波検査を検討する。