[III-P6-6-12] 重症筋無力症を合併した好酸球性心筋炎の一幼児例
キーワード:好酸球性心筋炎, 重症筋無力症, ステロイド
【背景】好酸球性心筋炎(以下EMC)はステロイド治療が著効し,より早い段階から導入することで回復を見込める比較的予後良好な心筋疾患である.全ての年代に発症しうるが若年者は稀である.ステロイド漸減中に重症筋無力症(以下MG)が発症した症例報告は少なく,今回文献的考察を加え臨床経過を報告する.【症例】3歳女児. 顔色不良と呼吸苦症状で入院.心拍数156/分,血圧94/56mmHg,血液検査で心筋逸脱酵素の上昇と経胸壁心臓超音波で両心室の壁運動低下を認めたため急性心筋炎と診断した.ガンマグロブリンとステロイド投与を開始し,その後ステロイドを漸減し中止した.しかし中止後に血中好酸球数の増多と,心筋逸脱酵素の再上昇,心室壁運動低下を認めたためEMCを強く疑い,ステロイド投与を再開した.再開後は速やかに血中好酸球数と心筋逸脱酵素は低下し,低下とともに両心室の壁運動改善を認めたため,第81病日に退院とした.退院後,筋力低下による動揺性歩行とGоwers徴候,そして右眼瞼下垂,左眼球外斜視を認めたため精査を進めMGと診断した.ステロイド投与に加え,免疫抑制剤を導入し症状は軽快した.【結語】EMCを強く疑った場合には,より早期の段階でステロイドを導入することが重要である.EMCの発症に関与した免疫反応が,その後の何かしらの免疫学的機序によりMGを発症する可能性がある.ステロイドはその免疫反応を抑制するため,漸減中の神経症状には注意を払う必要がある.