第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(III-P6-7)
術後遠隔期・合併症・発達 IV

2022年7月23日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場

座長:上田 知実(榊原記念病院 小児循環器科)
座長:上野 倫彦(手稲渓仁会病院 小児科)

[III-P6-7-01] BAS後に右腸骨静脈閉塞となり骨盤内静脈瘤から無症候性肺塞栓を来した18歳男性

田中 裕治 (国立病院機構鹿児島医療センター小児科)

キーワード:完全大血管転位, 静脈閉塞, BAS

バルーン心房中隔裂開術(BAS)後に右腸骨静脈閉塞を来し、無症候性の肺塞栓が判明した症例を経験したため報告する。(症例)18歳男性(経過)出生直後から重症チアノーゼあり完全大血管転位1型の診断、0生日にBASを行い、12生日にジャテン手術が実施された。11ヶ月時の心臓カテーテル検査の際に右腸骨静脈閉塞が判明、右足の血流は骨盤内を経由して左へ流入していた。2歳10か月時には右優位の末梢性肺静脈狭窄が判明し、バルーン拡大が検討されたが右腸骨静脈閉塞のため延期された。3歳5か月時に右頚静脈経由でインターベンションを行った。4歳で肺血流シンチにて両側肺野に多発する限局性欠損域を認め、無症状ながら経過観察中にDダイマー 25.4まで上昇、抗血小板、抗凝固療法を開始、半年後の肺血流シンチでは欠損域消失していた。その後、下腹部皮下静脈瘤が拡大傾向となり9歳で手術が検討されたが困難と判断され運動時の圧迫のみでフォローとなった。13歳での腹部造影CTでは巨大な側副血行路を形成していた。再度、インターベンション、手術が検討されたが、無症状であり静脈系への手術は適応なしとの結論であった。ワーファリンは怠薬ぎみであったため、詳しい説明を繰り返し、DOAC内服にて肺梗塞を起こすことなく経過している。(考察)新生児のBASでは静脈閉塞を来すことがあり得るが、慎重な経過観察が必要である。