[III-P6-7-09] 大動脈縮窄症の臨床的な再縮窄のリスク因子についての検討
キーワード:大動脈縮窄症, 再縮窄, リスク因子
【背景】大動脈縮窄症(以下CoA)の再縮窄(以下reCoA)となる組織学的な因子として動脈管組織によるrecoilが報告されているが、臨床的なreCoAのリスク因子は明らかになっていない。【目的】reCoAの臨床的な因子について検討すること。【方法】当院で2007~2021年に経験したCoA 59例を元に、複雑型CoA、遺伝子異常、未治療CoAへの治療介入法とreCoAの関連について診療録を用いて後方視的に検討する。【結果】CoA 59例の内、reCoA 19例(32.2%)であった。以下の割合でreCoAを認めた。複雑型CoA 47例中5例(31.9%)、遺伝子異常 11例中4例(36.4%)、治療介入法は外科的血管形成術51例中18例(35.3%)、(内訳subclavian flap aortoplasty(以下SFA) 25例、 extended aortic arch anastomosis 21例、不明5例)、経皮的バルーン血管形成術(以下BA)4例中1例(25%)、経皮的ステント挿入術4例中0例。SFAと他術式では、SFAの方がreCoAが少ない傾向にあった。ステント留置例は7例(未治療CoA 4例、reCoA 3例)であった。ステント留置時の合併症はなく全例生存している。3例は留置後も高血圧であった。【考察】複雑型CoA、遺伝子異常、治療介入法にreCoAとなる有意な因子はなかった。当院では乳幼児未治療CoAへは外科的血管形成を第一選択とし、SFAが多く施行されていた。他術式に比べreCoAが少なかった。乳幼児未治療CoAへのBAを施行した後にreCoAとなった症例は、追加のBAで治療し得た。乳幼児の未治療CoAに対するBAの有効性に関する報告もあり、今後の症例の蓄積が望まれる。ステント留置は良好な転帰であるが、高血圧残存する例や留置後8年で相対的狭窄を来す例があり、長期的なフォローアップが必要と考えられた。【結論】reCoAのリスク因子として術式が関連する可能性がある。ステント挿入後も相対的な狭窄や血圧に関して長期のフォローアップが必要である。