第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(III-P6-7)
術後遠隔期・合併症・発達 IV

2022年7月23日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場

座長:上田 知実(榊原記念病院 小児循環器科)
座長:上野 倫彦(手稲渓仁会病院 小児科)

[III-P6-7-10] Down症候群、完全型房室中隔欠損における肺動脈絞扼術後の肺高血圧の検討

西木 拓己, 永峯 宏樹, 土田 裕子, 妹尾 祥平, 矢内 俊, 山田 浩之, 小山 裕太郎, 大木 寛生, 前田 潤, 三浦 大 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

キーワード:Down症候群, 完全型房室中隔欠損症, 肺高血圧

【背景、目的】完全型房室中隔欠損では一期的に心内修復術(ICR)が行われることも多いが、Down症候群(DS+cAVSD)では、肺血管閉塞性病変(PVOD)の進行を懸念して、早期に肺動脈絞扼術(PAB)を行い、成長後に待機的にICRを行うことがある。しかしそれでも経過中に肺高血圧(PH)を認め投薬を要する例が存在する。今回DS+cAVSD術後のPHに影響する因子を検討した。【方法】当院で2011年から2018年の間に病名登録されたDS+cAVSDの児のうち肺動脈絞扼術を行った例を抽出し、予後を確認した。そのうち肺血管拡張薬(PD)の内服を要した例(PH群)と要さなかった例(N群)について臨床データを比較検討した。【結果】18例(男10例、女8例)が抽出され、全例がICRに至っていた。PABは日齢中央値59(25-325)、ICRは日齢中央値467日(179-1169)で行われていた。ICR後にNOを使用した例は2例で、PH crisisに陥った症例はなかった。観察期間は6.5(2.2-10.2)年で、PD使用は7例であった。うち5例はICR後の入院中、1例はPAB後ICR待機中、1例はICR後の心臓カテーテル検査でPH残存を認め開始していた。7例中6例は内服開始後29±24.2か月でPDを終了した。PH群はRastelli分類A型5例、B型1例、C型1例で、N群はA型5例、C型6例であり、有意差はないもののPH群でA型が多い傾向がみられた。【考察】Rastelli分類A型のDS+cAVSDではPHの合併が多く、PAB後もPHが残存する可能性が示唆された。80%以上の症例でPDの終了は可能で、PABによりPVOD進行を抑制できることが示唆された。【結語】DS+cAVSDのRastelli分類A型の症例では、PAB後もPHに対する治療が必要な可能性がある。