[III-TRS02-01] 小児血液浄化の概論
Keywords:小児血液浄化, AKI, 電解質コントロール
先天性心疾患周術期管理における血液浄化療法としては、腹膜透析療法と体外式の血液浄化療法extracorporeal blood purification(EBP)とが挙げられるが、本講演ではEBPについて概説する。先天性心疾患の周術期管理におけるEBP施行の目的は、水分管理(除水)と電解質コントロールである。人工心肺使用に伴って生じたサイトカインの除去を期待する向きもあるが、EBPによるクリアランスはそれほど高くない。●成人のEBPとの相違点 体格に合ったカテーテルサイズの選択、血液プライミング、低体温対策●開始時血圧低下への対処法●小児急性腎傷害(AKI)における基本的なEBP条件設定 知っておくべき血液流量(Qb)、透析液流量(Qd)、置換液流量(Qs)の関係●除水の工夫 コンソール(血液浄化装置)を使用しない除水システム●電解質コントロールにおける工夫 透析液中の電解質濃度調整●血管外漏出症候群 capillary leak syndrome対策 新鮮凍結血漿(FFP)を用いた血液濾過透析(plasma hemodiafiltration, PHDF)成人と異なり、体重2kgの新生児から成人と同様な体格の50kgの中学生まで幅広い患者層に対応しなければならず、画一的な条件設定でEBPを行うことはできない。にもかかわらず、症例数が成人に比べて極めて少ないため、特定の施設にいない限りほとんど経験できないという点が小児EBPを何となく近寄り難いものにしてしまっている。小児特有の注意点をしっかり把握しておくことで、EBPの安全な施行が可能となる。上記項目について、時間内に可能な限り解説を行いたい。