[III-TRS02-03] 小児血液浄化の実際 -臨床工学技士の立場から-
Keywords:小児血液浄化, 小児の特殊性, 知識やスキルの維持
小児血液浄化といっても、新生児から成人に近い体格の青年初期まで幅は広く、症例毎に年齢や体格等に応じた血液浄化法や医療材料の選択が必要となる。また、小児専門病院や大学病院ではない場合には症例数が限られおり、十分な経験ができない施設が多く、実際に血液浄化を施行するスタッフの知識やスキルの維持が課題となっている。小児血液浄化の原理や適応は基本的には成人と相違はなく、小児用の装置や医療材料の充実により安全に施行することが出来るようになった。しかし、小児の特殊性を十分に理解して行わなければ、思わぬ事態を招きかねず注意が必要である。小児血液浄化の特殊性として、1.体外循環血液量が相対的に多くなり血液希釈率が高くなる。2.循環動態の許容範囲が狭い。3.体外循環による低体温をきたしやすい。4.血流量が制限される。5.ブラットアクセスの確保が困難。6.抗凝固のコントロールが難しい。7.治療中の安静が保てない。8.小児血液浄化を熟知したスタッフが限られている。などの点があげられる。対応の一例として血液浄化総充填量が循環血液量の10%を超える場合には、アルブミンや赤血球製剤を用いた回路内充填と充填血の補正を行い血行動態の安定を図る必要がある。このようなことから当院では小児の血液浄化は集中治療室で行う場合が多く、多職種で連携した情報共有体制を整えておくことも安全に施行するための鍵となる。また、経験が浅いスタッフが血液浄化を担当する場合でも的確に施行できるように、浄化法毎のマニュアルを作成し確認を行いながらできるよう工夫を行っている。当院は「こども救命センター」として道内各地から様々な病態の患者が紹介されるため、24時間365日での対応を行っているが、日常的に小児血液浄化を行っているわけではない。このような施設で実際に小児血液浄化をどのように行い、どのような点に注意が必要なのか、臨床工学技士の立場からご紹介したい。