[III-YB06-01] 難病に罹患して
岩永美海さんとお母さん
岩永さんは現在大学2年生です。小学校3年生の冬にインフルエンザに罹患し、某病院に入院となりました。その際に心雑音を指摘され、心臓超音波検査にて肺高血圧の存在を認め、東京医科歯科大学附属病院に紹介入院となりました。諸検査の結果、体血圧を上回る重症特発性肺動脈性肺高血圧と診断されましたが、同時に気管支肺異形成に伴う3群の因子、そして心房中隔欠損に伴う因子をも合併していました。
鑑別診断後に経口3剤による早期併用療法を開始し、症状の改善は得られたものの平均肺動脈圧は依然として高く、1年後に持続静注エポプロステノールによる治療となりました。平均肺動脈圧と肺血管抵抗係数は著明に改善しましたが、心房中隔欠損による肺血流量が予想以上に増加し、カテーテルインターベンションによる閉鎖にて、平均肺動脈圧は更に改善しました。しかしその後に2回感染性心内膜炎を発症し、長期間の入院治療を要しました。
肺高血圧の著明な改善と反復する感染性心内膜炎を考慮し、エポプロステノールを離脱し、トレプロスティニルの持続皮下注に変更しました。この頃から、肺高血圧治療に対する患児のアドヒアランス欠如が見られ始め、何度となく患児とお母さんにお話しする機会が増えました。私たち小児循環器医師が希少難病の治療を継続していく課程で、同様の事象に直面することも多いように思われます。
患児とお母さんからの発表を聴講いただき、理想的な「患者目線の医療」を皆さんと一緒に考えたいと思います。
主治医 土井庄三郎より
岩永さんは現在大学2年生です。小学校3年生の冬にインフルエンザに罹患し、某病院に入院となりました。その際に心雑音を指摘され、心臓超音波検査にて肺高血圧の存在を認め、東京医科歯科大学附属病院に紹介入院となりました。諸検査の結果、体血圧を上回る重症特発性肺動脈性肺高血圧と診断されましたが、同時に気管支肺異形成に伴う3群の因子、そして心房中隔欠損に伴う因子をも合併していました。
鑑別診断後に経口3剤による早期併用療法を開始し、症状の改善は得られたものの平均肺動脈圧は依然として高く、1年後に持続静注エポプロステノールによる治療となりました。平均肺動脈圧と肺血管抵抗係数は著明に改善しましたが、心房中隔欠損による肺血流量が予想以上に増加し、カテーテルインターベンションによる閉鎖にて、平均肺動脈圧は更に改善しました。しかしその後に2回感染性心内膜炎を発症し、長期間の入院治療を要しました。
肺高血圧の著明な改善と反復する感染性心内膜炎を考慮し、エポプロステノールを離脱し、トレプロスティニルの持続皮下注に変更しました。この頃から、肺高血圧治療に対する患児のアドヒアランス欠如が見られ始め、何度となく患児とお母さんにお話しする機会が増えました。私たち小児循環器医師が希少難病の治療を継続していく課程で、同様の事象に直面することも多いように思われます。
患児とお母さんからの発表を聴講いただき、理想的な「患者目線の医療」を皆さんと一緒に考えたいと思います。
主治医 土井庄三郎より