The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長要望セッション

会長要望セッション6(III-YB06)
患者目線の医療とは-こころを紡いで、いのちを繋ぐ-

Sat. Jul 23, 2022 9:25 AM - 10:55 AM 第1会場 (特別会議室)

座長:土井 庄三郎(国立病院機構災害医療センター 小児科)
座長:西畠 信(鹿児島生協病院 小児科)

[III-YB06-03] 多種多様な合併症を抱えた患者さんの主治医の役割

堀口 泰典 (国際医療福祉大学熱海病院小児科)

Keywords:主治医, ヌーナン症候群, リンパ管浮腫

【目的】多様な合併症を発症したヌーナン症候群の1例における「主治医」の役割を検討した。【症例】出生時ヌーナン症候群と診断された39歳2ヶ月の男性。VSDがファロー化し小児期に修復術を受けた。経過良好で作業所・グループホームで生活していた。肺動脈弁逆流による右心負荷のため19歳5ヶ月より利尿剤開始。カルベジロール、エラナプリルを適時追加した。29歳頃より左下肢が浮腫むようになりリンパ管浮腫と診断したがリンパマッサージ、弾性包帯圧迫等は無効であった。また、時折血清クレアチニン値が上昇したが投薬調節で腎機能は保たれた。35歳9ヶ月時、A病院形成外科へ紹介しリンパ管造影で診断確定の上リンパ管静脈吻合術を受けた。しかし効果乏しく脂肪吸引術を追加された。この間38歳0ヶ月時十二指腸潰瘍穿孔の為B病院外科で緊急手術を受けた。39歳1ヶ月時、低体温でC病院へ搬送され副腎機能不全を疑われD病院内分泌代謝内科を受診。副腎機能検査を受けたがC病院の同ホルモン投与で改善しており追加治療不要と言われた。C、D病院の担当医から「大きい病院で主治医になってくれる先生を探しなさい」と言われた。【考案】本例は(1)ヌーナン症候群(2)ファロー化VSD(術後)で(3)腎機能障害(4)左下肢リンパ管浮腫(5)十二指腸潰瘍穿孔(6)副腎不全と多様な合併疾患が次々に生じた。循環器疾患以外は「専門医」に診療情報提供し治療を依頼した。それでも大病院内に「主治医」を持つように言われた。合併症が生じたらいつでも診てもらえるからというのがその理由。しかしCD病院の診療担当医達は「主治医」にはなれないという。「主治医」とは何か。患者さんの全ての病状を把握、経過観察しタイムリーに適切な治療を受けさせる「コントローラー」であるように思われるが所属施設のサイズには関係が無いと思われる。【結論】診療施設の規模は主治医たる条件として全く関係が無い。