The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長要望セッション

会長要望セッション6(III-YB06)
患者目線の医療とは-こころを紡いで、いのちを繋ぐ-

Sat. Jul 23, 2022 9:25 AM - 10:55 AM 第1会場 (特別会議室)

座長:土井 庄三郎(国立病院機構災害医療センター 小児科)
座長:西畠 信(鹿児島生協病院 小児科)

[III-YB06-05] フォンタン術後患児が円滑に集団生活を送るために一学期に行う保育・教育関係者と家族への「フォンタン説明会」の報告

西畠 信1, 田中 裕治2, 川村 順平3, 上野 健太郎3, 関 俊二4, 櫨木 大祐5, 野村 裕一5, 松葉 智之6 (1.鹿児島生協病院 小児科, 2.国立病院機構鹿児島医療センター 小児科, 3.鹿児島大学病院 小児科, 4.国立病院機構指宿医療センター 小児科, 5.鹿児島市立病院 小児科, 6.鹿児島市立病院 心臓血管外科)

Keywords:フォンタン手術後, 就園就学, 保育教育関係者

【背景】一心室が体肺両循環を担う特異な循環動態のフォンタン術後患児(以下、F術後児)の就園・就学に際して、送り出す家族だけでなく受け入れる側も戸惑う声をしばしば耳にする。一方、医療側も外来での説明時間は限られ、生活管理指導表の発行だけでは必要な情報を伝えきれない。
【目的】F術後児が集団生活を始める際に家族と保育・教育関係者が同じ説明を聴くことにより、双方の共通理解のもとに児が適切に受け入れられる援助とする。
【方法】F術後児の担当医が分担して3~5講座、1.5~2時間の説明会を開催した。対象はF術後児の家族と児が通う保育施設や学校の担任・養教・責任者。案内は外来担当医から家族を通じて保育・教育関係者に手渡すか郵送し、患者会の広報も依頼した。開催時期は1学期前半の午後の業務時間内とし、施設責任者(園長・校長)宛の派遣要請書も添付した。講座内容は、フォンタン手術の循環動態と薬、フォンタン術後の運動、緊急時の対応を基本に、社会情勢に応じて新型コロナ感染症とワクチン接種等の講座を追加した。事後評価として終了時に感想・要望のアンケート記載をお願いした。
【結果】初回(2016年)は一施設だけで開催し対象児7名、参加者20名だったが、2018年は対象児17名、参加者54名、2019年は対象児28名で参加者58名と増加した。2020年はCOVID-19の緊急事態宣言下で開催中止、2021年はWeb開催にしたところ、参加者は200名を超えた。現地参加の3回では家族と保育・教育関係者が一緒に参加した例も多く、事後アンケートで学校生活で有用な情報となったことへの感謝と共に、毎年の開催希望が多く、F術後児家族と保育・教育が相互理解する貴重な機会となっていた。4回目のWeb方式では保育・学校関係者が参加しやすくなったため参加者増加につながった。
【結語】F術後児の家族と保育・教育関係者への説明会は自立支援や社会の受け入れの一方法として期待できる。