会長要望セッション8（III-YB08）
若手参加型セッション： Case Challenge

[III-YB08-01] 胸痛、ST上昇を来した左心低形成症候群、Fontan術後患者～何を疑い、どのように検査・治療をすすめるか～

^○朝貝 省史, 佐藤 正規, 原田 元, 島田 衣里子, 石戸 美妃子, 篠原 徳子, 稲井 慶 (東京女子医科大学病院 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード：HLHS, Fontan術後, 胸痛、ST上昇

【症例】22歳男性【主訴】胸痛【内服薬】ヴォリブリス2.5mg 1×, エナラプリル2.5mg 1×, バファリン81 1×, ワーファリン3mg【現病歴】在胎38週6日、3138gで出生。出生後からチアノーゼを認め、A病院を紹介入院、心エコーでHLHS（MA/AA）と診断。日齢8にNorwood手術、rt mBTS手術、4か月時にGlenn手術、肺動脈形成術、2歳時にTCPC手術。18歳時のカテーテル検査ではCVP 11mmHg, PV 6mmHg, RV 92/EDP4mmHg, AAo 79/44 (57)mmHg, Qs 4.1L/min/m2, Qp/Qs 0.7, Rp 2.0unit・m², Rs 11.8unit・m²。高校卒業を機に当院紹介。20XX年12月Y－12日から発熱、嘔気、意識障害を認め、12月Y－9日に当院搬送、髄液検査でリステリア菌が検出、細菌性髄膜炎と診断。脳神経内科に入院、意識障害のため絶飲食、抗菌薬を開始。12月Y－2日に胸痛を自覚、胸痛時の心電図所見はV2、V3でST上昇を認めたが胸痛は間欠的であり、胸痛がなくなるとST変化も消失。胸痛の精査加療目的で12月Y日当科転科。【入院時血液検査所見】WBC 23700/μL, Hb 17.0g/dL, Hct 48.0%, Plt 12.4万/μL, AST 23U/L, ALT 20U/L, LDH 320U/L, , BUN 17.1mg/dL, Cr 1.07mg/dL, Na 133mEq/L, K 3.7mEq/L, Cl 100mEq/L, CK 219U/L, CK-MB 11U/L, CRP 16.5mg/dL, BNP 100.6pg/mL, PT-INR 1.59, APTT 44.0sec, FDP 7.2μg/ml, フィブリノゲン 548mg/dl, D-dimmer 2.5g/dl【転科時身体所見】身長165cm, 体重53kg, BT41.0度, HR123bpm 正常洞調律, BP135/92mmHg, RR16回/min, SPO₂ 96% (room air)、意識レベル: JCS III-200, GCS E2V1M4、心音: 整, 心雑音なし 呼吸音: 清, 腹部: 平坦かつ軟, 肝腫大なし 四肢: 下腿浮腫なし【転科時心電図所見(胸痛なし)】正常洞調律, HR 65bpm, QRS軸 -45°, PR時間 200ms, QRS時間 120ms, V1-5でT波陰転化, ST変化なし。上記症状、所見の症例に対してどのように考え、検査、治療を進めていくか、また臨床的な注意点について議論していきたい。