[I-CSY3-03] 我が国における重症患者ジェット機搬送ネットワークの必要性と今後の展望
キーワード:重症呼吸・循環不全, 固定翼機による広域患者搬送, 機械的循環補助
我が国でも重症呼吸・循環不全に対する集学的治療の進歩は著しく、大動脈バルーンポンピング(IABP)、Extracorporeal Membrane Oxygenator (ECMO)、補助人工心臓(VAD)[経皮的補助人工心臓(IMPELLA)を含む]などの機械的循環補助を含む集学的治療の、救命率や治療後の予後・QOLは著しく向上した。しかし、このような治療は大都市に限定され、それらの地域以外の重症呼吸・循環不全患者は、高度な専門的治療を受けられないのが、我が国の現状であり、特に小児の重症呼吸・循環不全患者においてはより顕著である。このような現状で、重症呼吸・循環不全患者が国内で公平に医療を受けるためには、人工呼吸器や機械的循環補助を装着した患者を、地域から高度医療施設に空路で搬送するためのネットワークを構築することが、喫緊の課題である。そこで、2022年6月に日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)委員会を発足し、日本小児循環器学会も参加して、全国調査を実施した。2017年~2022年6月までに固定翼機による搬送を要すると判断された小児例(18歳未満)は217例(男117例)で0歳148例、1ー6歳42例、7歳以上27例であった。基礎疾患は心疾患(先天性心疾患170例、心筋疾患17例、致死性不整脈4例、その他の心疾患4例)が91.2%であった。広域搬送に理由は超重症患者搬送106例、後方搬送57例で、実際に固定翼機搬送できたのは96例(北海道患者搬送固定翼機運航事業86例、民間機7例、航空機動衛生隊3例)で、北海道内外への移送以外は極めて少なかった。現在、JCCNを構築するためNPO法人、委員会が中心になって活動しており、将来構築されるであろうJCCNの構想と構築までにフローを紹介する。