[I-OR01-01] 治療不希望例の背景から考える,循環器小児科医の対応の在り方
Keywords:胎児診断, 治療不希望, 先天性心疾患
【背景】出生後診断では治療決断までの時間が限られるが,胎児診断では考える時間があるだけに介入不希望を表明する例も見受けられる. 【対象】2009年以降にLevel 2胎児診断を施行した686例中,介入不希望を表明した9例.不希望の主要因に基づきA群:養育困難+重症度4例,B群:疾患の受容困難3例,C群:疾患の重症度2例に分類し,疾患,背景,転帰,問題点について考察した.【結果】<疾患/背景>A群:①児del22q11.2/TOF/absentPAV/気管軟化症,母;解離性障害,②児del22q11.2/TOF/absentPAV/気管軟化症,母;singleのdel22q11.③児Asplenia/PVO,母single.④児TrA/severe TrVS/R,高校生/中学生の姉弟間妊娠.B群:SV3例.C群:HLHS-v/intact IAS 2例.<転帰>A群:3例は出生後に同意し手術施行も2例が死亡,1例(TrA)は生存も退院先が確保できず.1例は保存的療法のみで死亡.B群:2例は胎児期に希望に転じGlenn/TCPC到達.1例(TA)は同意なく転院後死亡. C群:1例は出生後に希望に転じ緊急手術を行うもICU退室叶わず死亡.1例は看取り.<問題点>A群:生存例(TrA)は養子縁組申請も胎児診断の結果成立せず,児童養護施設への入所も心不全のため不能.死亡のうち1例はGA20wに重症CHDを疑われるも専門機関へ紹介なく妊娠継続. B群:3例ともGA22w未満に心内修復可の二心室疾患と誤診され妊娠継続し,22w以後の紹介で単心室の診断に至ったことが不希望の主因であった.【まとめ】4例で妊娠継続か否かに関する情報の誤りが不希望表明の契機となっており反省を要する.養育困難例では状態により養子縁組も養護施設への入所も困難なことがあり,児が退院後どこで成長していくのか解決できていない.「治療可能」にも様々な程度があり, HLHS-v/intact IASなど予後が良いとは言えない疾患では介入による不利益も踏まえ親の想いに配慮する余地がある.介入不希望に至る背景には,単純に不希望を否定しきれない問題も個々にあることを鑑み対処する必要があると考える.