第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

胎児エコー

一般口演(I-OR01)
胎児エコー

2023年7月6日(木) 09:00 〜 10:10 第6会場 (G301)

座長:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院), 座長:金 基成(国立成育医療研究センター 循環器科)

[I-OR01-04] 胎児心エコーにおける心筋の前収縮期運動と房室弁閉鎖の時相差との心機能との比較:Dualドプラ法を用いて

寺町 陽三, 前野 泰樹, 津田 恵太郎, 高瀬 隆太, 籠手田 雄介, 須田 憲治 (久留米大学 医学部 小児科)

キーワード:心機能, 胎児心エコー, myocardial presystolic motion

【背景】我々は以前胎児心エコーDualドプラ法で心筋の前収縮期波と房室弁閉鎖クリックとの時相差(X interval)に関して左心室と右心室に有意差があることを報告した。正常の左心室ではこの時相差はほとんどなく一致することが報告されているが右心室に関する報告はない。今回はX intervalと胎児心機能との関連を検討した。【方法】2020年6月から2022年9月に当院受診し心内構造がない胎児を対象とした。X intervalはDualドプラ法(Pulse Doppler/Tissue Doppler)で房室弁閉鎖クリックと前収縮波の頂点のタイミングでの時相差を計測した。その他の測定項目として心拍数、TCD、CTAR、TAPSE、MAPSE、左右心室のE波、A波、ICT/ET、IRT/ET、MPI、e’波、a’波、s’波、E/e’、MCA RI、UA RI、PLIとX intervalとの相関、CTAR≧40%, CTAR<40%の2群でそれぞれの項目を比較した。【結果】検査数は185回(胎児数90症例)、平均在胎週数は29.6±5.0、平均心拍数145±10.2。CTAR≧40%ではガレン大静脈瘤、先天性貧血症候群、母体甲状腺機能亢進症などの基礎疾患を認める症例であった。X intervalはRVとLVでは有意差あり(7.8±0.5ms vs. 1.6±0.5ms, p<.0001)。またRV X intervalはTCD(r=0.20, p<.005)), CTAR(r=0.28, p<.0001), E波(r=0.28, p<.0002), A波(r=0.24, p<.0009), RV MPI(r=0.34, p<.0001), RV ICT/ET(r=0.44, p<.0001), PLI(r=0.19, p<.05)での相関を認めた。右心室に関してCTAR≧40%の群では、RV ICT/ET, RV MPI, RV IRT/ET, TAPSE, RV E/e’では有意差を認めなかったがRV X intervalのみ有意に高値であった(15.4±12.7 ms vs. 6.8±7.0 ms , p<.005)。【結語】右心機能評価でのX intervalはその他の心機能評価と比べてより鋭敏に右心前負荷を反映する可能性が示唆される。