[I-OR01-07] 胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的治療後の3歳時予後:多機関共同臨床試験のフォローアップ研究
Keywords:胎児頻脈性不整脈, 胎児治療, 神経発達予後
【背景】胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的治療の有効性は多数報告されているが、出生後の中長期的な予後は明らかでない。【目的】胎児頻脈性不整脈に対してプロトコール治療を受けた児において、出生後3歳までの生命予後及び神経発達予後を明らかにすること。【方法】多機関共同臨床試験において経胎盤的治療を実施した胎児頻脈性不整脈(上室頻拍及び心房粗動)50例のうち、胎児死亡例等を除く47例を対象として、出生後3歳までの生命予後及び神経発達予後を評価した。脳性麻痺、両側失明、両側重度難聴、神経発達遅滞(DQ≦69)の1つ以上に該当する場合に神経発達障害ありとした。【結果】出生した47例のうち、45例が追跡可能で、43例で修正3歳での神経発達評価結果が得られた。追跡期間は中央値3.2年(2.1-9.4年)で、1例が2.1歳で死亡した。神経発達障害は、全体の9.3% (4/43)、胎児水腫例では3例中2例で認められた。脳性麻痺は、妊娠中期に重度の皮下浮腫又は腹水を伴った2例で認め、神経発達遅滞は、結節性硬化症又は内臓錯位症候群の2例で認めた。神経発達障害の有無で比較したところ、神経発達障害がある場合に、診断時の心室拍数が有意に高く (中央値265bpm vs 229bpm、P=0.003)、診断時に皮下浮腫を伴う胎児水腫の頻度が高く (50.0% vs 2.6%、P=0.019)、胎児腔水症の持続時間が長かった (中央値10.5日vs 0日、P=0.013)。【考察】神経発達障害は、診断時の胎児水腫や胎児腔水症の持続時間と関連しており、胎児期における循環動態の影響が示唆された。神経発達遅滞は、重症の先天異常を有する症例のみで認められ、それらの併存疾患がない場合には神経発達予後は概ね良好と考えられた。【結論】胎児頻脈性不整脈に対してプロトコール治療を受けた児の出生後3歳までの予後は概ね良好であった。