[I-OR02-04] 先天性心疾患を伴う肺高血圧症例の多施設症例登録研究 JACPHR
キーワード:肺高血圧, 先天性心疾患, レジストリ研究
【背景】多彩な臨床像を伴う先天性心疾患を伴う肺高血圧症CHD-PHの標準治療確立を目的に多施設症例登録研究JACPHRが2021年7月から開始となった。【目的】CHD-PHレジストリの構築により適切な治療並びに管理方法を確立すること。【対象と方法】mean PAP>20mmHg(FontanではTPG>6mmHg)またはPVRi≧3WU・m2を認めるCHD症例を初回登録後、前向きに追跡する。【結果】2023年1月時点での登録症例は135例で、このうち選択基準を満たすことが確認できた115例について検討を行った。登録時年齢は12.2歳(中央値)で、Eisenmenger症候群8例、有意なLR shunt20例、small shunt17例、修復術後残存29例、左心疾患2例、単心室29例、区域性肺高血圧10例であった。基礎疾患として、21トリソミー26例(22.6%)、22q11.2欠失症候群8例(7.0%)、心房内臓錯位症候群4例(3.5%)を認めた。また、17例(14.8%)で気道病変を合併していた。登録時年齢別では、20歳未満では修復術後症例と単心室症例が多く、20~29歳ではsmall shuntによるPH症例が多かった。30歳以上では約4割がEisenmenger症例だった。標的治療薬の投与を受けていたのは全体の76.6%で、併用療法は42.6%で行われていた。一方、20~29歳の登録症例では全例標的治療薬の投与を受けており、かつ7割以上は併用療法を受けていた。登録時以前と圧の比較が可能な76例の検討では、39例(51.3%)で20%以上の平均肺動脈圧の低下を認め、標的治療薬投与群では55.4%(36/65例)、非投与群では27.3%(3/11例)の改善率だった。【結論】年齢毎の疾患および治療の差異を認めるとともに標的治療薬の効果が示唆される結果だった。さらなる症例の蓄積によりCHD-PHのエビデンス創出を目指していく。