[I-OR02-06] ラットPHの右室機能不全におけるBmpr2変異の役割
キーワード:Bmpr2, 肺動脈性肺高血圧, 右室機能障害
【背景】BMPR2変異は肺動脈性肺高血圧(PAH)の主要な遺伝的リスク因子であり、疾患重症度や生命予後の悪化と関連する。BMPR2変異保因者における疾患重症度や予後の悪化は肺血管病変によるとされてきたが、近年の報告ではBMPR2変異はPAHとは独立して右室心筋やその機能に影響を与えることが示唆されている。しかしBMPR2変異保因者における右室機能障害の詳細は不明である。【仮説】Bmpr2変異を有するラットは、野生型ラットに比べて右室機能が低下している【方法】CRISPR/Cas9ゲノム編集にて生成したBmpr2変異ラットおよび野生型同腹仔においてモノクロタリン(MCT)- PHモデルを作成し、PH進行に伴う右室機能の経時的な変化を心エコーで評価した。【結果】MCT投与後21日目までの評価では右室収縮期圧(RVSP)や右室機能に両群間で有意差はなかった。MCT投与後23-25日目の評価でもRVSPに有意差はなかったが、Bmpr2変異ラットは野生型同腹仔と比較して右室収縮性、心拍出量が有意に低下していた。【考察】疾患の後期段階と考えられるMCT投与後23-25日目の評価では、同等の圧負荷にも関わらずBmpr2変異ラットでは野生型同腹仔と比較して、右室収縮性および心拍出量がより低下していた。MCT-PHモデルの疾患後期段階においては、Bmpr2変異ラットでは野生型同腹仔と比較して非代償期の右室機能障害が多く、予後悪化との関連が考えられた。【結論】MCT-PHモデルの疾患後期段階において、Bmpr2変異ラットは野生型同腹仔と比較して、同等の圧負荷でも右室機能がより低下する。